<BELLOF社HIDシステム装着日誌>  2000年2月25日
Installation of BELLOF HID System → English Page
 
今流行りのHIDを装着しました。使用した製品はBELLOF社製のH4用。H4バルブとリプレイスするシェード付タイプですが、キセノンバルブの構造上、H4のように二つの光源を一つのバルブ内に装着することができないので、ハイビームの使用は出来なくなります。メカニズム的にバルブを移動させてローとハイを使い分けることができるタイプも出ていますが、バルブの移動用メカニズム装着スペースの問題と長時間ハイビームを使用する機会が少ないことから、今回は見送りました。
しかし、一時的に遠方を照らしたり、パッシングを行う場合(HIDによるパッシングはいずれにしても不可)を考え、ハイビームの代わりとして純正フォグライトの隣、ダミーエアスクープ内にハロゲンライトを使用するスポットライトを装着することにしました。⇒ハイビーム用スポットライト装着日誌

尚、現在ではBellof社製HL4-Ddriveの装着によりハイビーム対策は解消しています。

HIDのシステムキット自体は、PIAAやCIBIE等各社から続々と登場しており、カーショップの店頭で見られるようになってきたので、機器そのものに対する安定性は確保されているようです。
但し、C5標準装着のヘッドライトハウジングは、レンズカットだけで配光処理を行っているタイプであるため、HIDの強大な光源に対応しきれませんでした。


【注意】

HIDそのものは車検対応品として認定され、装着使用自体は違法行為ではありません。
作業により光軸ズレが起こる可能性があるので、交換前に壁等を使って正しい位置をマーキングをしておくこと。
キセノンバルブは思われているよりも遥かに壊れやすいものなので取り扱いには十分注意すること。
ヘッドライトドアコントロールモジュールの誤動作を防ぐために、ダミーバルブの装着が必要です。


本品は99年モデルに装着したものですので、97〜98年及び2000年以降モデルと詳細で違う場合があります。

製品の注意事項にも記載されていますが、バルブケースの封印を開ける前に点灯テストを必ず行って下さい
封印を開けてしまった後に運送中等による衝撃でバルブが壊れてしまっていても、クレーム交換をしてもらうことができません。
又、装着されるバルブタイプはH4用で、写真のようにライトハウジングにシェードが着いていないタイプ用のものを使用すること。
バルブにシェードが無いものを使用すると、光源がもろに対向車を幻惑させてしまい、大変迷惑になります。
キットにはコンベックス(ケーブル結束用タイ)やコルゲートチューブ、機器固定用ベースフレームまで揃っており、必要なものは固定用ボルト類のみで工具以外なにも必要ありません。


@ヘッドライトの取り外し
 
ヘッドライトマニュアル動作用ノブを回してヘッドライトを一杯に上げ、ヘッドライトフロントマスクを外します。
マスクは、右側に一本、左側に2本(↑)、プラスヘッドのタッピングネジで固定されています。
ネジが外れたら、両脇を少し開いて、上中央部のヘッドライトカバーのツメに差し込まれた部分(↓)を手前に引き出し、抜けたら両脇を上に持ち上げて下側を隙間に入れる感じで手前に倒し、そのまま斜め上方向に引き上げます。
内側に着いている光軸調整用蓋は外れ易いので、紛失しないように注意。
ヘッドライトカバーを固定している、両サイドのトルクスタッピングビス(T15)を外します。
ヘッドライトマニュアル開閉用ノブを回してヘッドライトを閉め、後方のトルクスタッピングビス(T15)を外します。
再びノブを回してヘッドライトを半分くらい開け、ヘッドライトカバーを取り外します。
外したカバーは、誤って傷を着けたりしないように保管します
ヘッドライトカバーを固定するためのプラスチック製プレートが現れるので、固定しているトルクスタッピングビスを外してプレートを外します。
このプレートはヘッドライトカバーの取付位置を決めるので、ビスを外す前にビス上とプレートにマーキングをして再装着時に取付位置がずれないようにすること。また白四角で囲んだ部分はカバーの高さを調整するので、これも回らないように注意。
ヘッドライト本体を固定している3本のタッピングビス(10mmヘッド)を外します。狭い隙間からの作業になるので小さなソケットレンチが必要です。外れた途端にヘッドライトが傾いて下に落ちてくるので、支えながら作業すること。外す順番は外側の2本⇒内側の1本。

ヘッドライトが取れたら、バルブの接続コネクターを抜きます。防水ゴムカバーを取ってバルブ固定用ピンを外したら、バルブを取り出します。
点灯テストがOKなら、キセノンバルブをケースから出して装着し、固定ピンで固定します。
バルブ表面を手で直接触らないこと。又、衝撃を与えないよう取り扱いには十分注意すること。誤って落下させたりぶつけたりすると壊れてしまう恐れがあります。
ゴムパッキンを通り抜けているだけの赤色の細いケーブルは使用しないので、途中で切断して抜き去ります。
防水ゴムカバーをキセノンバルブの背部(つまり接続ケーブル側)から通し、さらにバルブに付いているゴムパッキンも通して、バルブの根元まで入れます。
作業中にバルブの接続ケーブル類に負荷をかけないように十分注意すること。
防水ゴムパッキンをライト本体に密着させ、さらにバルブのゴムパッキンを上から押しつけて接着します。
又、ライト本体のゴムパッキンは圧着力が十分でないので、パッキンとライトハウジングは上から耐熱テープ(ガラスクロスタイプ等)を貼り、防水を図りました。水の侵入は高圧電気のリークを起こすので防水対策には十分な配慮が必要です。

Aインバーター・イグナイターの装着

インバーターとイグナイターは、ヘッドライトハウジング下に装着しました。装着は、付属のベースフレームを取扱説明書記載のように折り曲げ、その上にインバーターをボルトナットで固定し、インバーター上にイグナイターを付属の両面テープで貼り付けた上でコンベックスで固定します。そして、ベースフレームをタイヤハウスカバーに穴を空け、ボルトナットで固定します。タイヤハウスカバーのボルト穴空けはドリルで行うか、キリで通し穴を空けた後に、ドライバーのヘッド等でもみ広げて行くと簡単に空きます。
タッピングビスによる取付は脱落の恐れがあるので止めたほうが無難でしょう。

ヘッドライトカバーとボンネットの隙間から入り、タイヤハウスカバー上から流入してくる水も、ベースフレームの隙間があるので、直接かかってしまうことは無くなります。
位置的にはインバーターの下部がアンダーカバー(底面)から5cm程度上になります。ベースフレームに取り付けたインバーターを先に固定し、後からイグナイターをコンベックスで固定します。固定位置があまり上だと、イグナイターからバルブまでの接続ケーブルがたるみ過ぎてしまうし、下過ぎると今度はとどかなくなってしまうので、位置については、実際にヘッドライトハウジングを取り付けて、ヘッドライトドアを閉じた状態を再現して検証します。バルブとイグナイター間の高圧ケーブルは柔らかい材質なので、多少ブラブラしても問題は無く、むしろ交差したり束ねられたりしないことのほうが重要です。

装着が完了したら、付属の取扱説明書に従って配線を行います。
簡単に説明すると、純正ヘッドライトコネクターから点灯信号兼電源を取電、ヒューズと同時点灯リレーを介してインバーターへ接続されます。グランド(アース)はボディアースに接続します。

そして、インバーターからイグナイターへ接続され、イグナイターからキセノンバルブへ接続されます。但し、バルブとの接続は、ハウジングを装着するときに行います。各コネクターはロックするまでしっかりと接続し、必要な個所にはコルゲートチューブ被せ、テーピングを行います。
C5はプラスコントロールなので、付属の同時点灯ユニットをそのまま使用できますが、ハイビームからロービームへ戻る時に、同時点灯ユニット(リレー)の動作時間の問題で、瞬間消灯してしまいます。又、この症状はパッシング時でも同様でした。
従って、付属同時点灯ユニットは使用せず、ヘッドライトコネクターからの信号取電も止め、別途リレーを使用して、ハイ・ローに関わらずライトスイッチON時にONとなる信号を直接取電することにしました。⇒
同時点灯について




Bダミーバルブの装着(重要!!)
 
ヘッドライトコネクターにインバーターやリレー類を直接接続したところ、ヘッドライト消灯時にヘッドライトが消えず、さらにヘッドライトドアーも格納されなくなりました。これはおそらくヘッドライトドアコントロールモジュールが、バルブの導通とその電流値を検知しているためだろうと思われます。 そこで、この誤動作を解消するために、ヘッドライト信号のマイナスとロービーム用プラスの間にダミーバルブを装着しました。
バルブは1W以上あれば大丈夫ですが、それ以下だと機能しない場合があります。バルブの代りに抵抗を使用する方法もありますが、最低必要電流値が不明なので、用心ためにバルブにしました。
ハイビームからロービームに切り替わる際、一瞬消灯する問題が出たため、それを解消させる新しい回路に変更しました新回路図

HIDは、消費電力が35Wと小さいので、純正ハーネスで十分ですが、突入電流が大きいので、ボンネット内ヒューズボックスのロービームヘッドライト用ヒューズ(8と1010)を、15A〜20A(純正は10A)に交換するよう取扱説明書に記載されているので、本回路を使用する場合は交換すること。

Cライトハウジングの装着
インバーター、イグナイターまでの配線が終了したら、ライトハウジングを取り付けます。
ライトハウジングを取り付け位置に一旦置き、まずバルブ用ケーブルを接続します。
コネクターをロックするまでしっかり差し込み、さらにゴムカバーもしっかりと密着させます。接続時やゴムカバーを被せるときに、ケーブルを強く引っ張ってダメージを与えないように注意すること。
接続が完了したらハウジングを固定します。取付作業中は、バルブから出ているケーブルにダメージを与えないように注意すること。

この段階でマニュアル動作ノブでヘッドライトの開閉を行い、ケーブル類や機器類の干渉が無いことを確認します。
特に、バルブとイグナイターの間の高圧線が交差したり、開閉動作時に負荷がかかったりしないことを確認します。又、バルブへ行く高圧線は、ケーブルタイなどで結束しないこと。

D動作テスト
ライトハウジングの装着と結線が完了したら、点灯及びヘッドライトカバー開閉動作テストを行います。

Eハイビームについて
ハイビームは使用できなくなるので、使用を望む場合は、別のライトを取り付けることになります。
方法論としては、フォグライトが装着されているエアスクープがダミーなので、フォグの隣に同タイプ同サイズのスポットタイプライトを取り付けるのが簡単で早いですね。

ハイビーム用スポットライト装着日誌

尚、現在ではBELLOF製HD4-Ddriveの装着により、ハイビーム対策は解消しています。

F装着
取り外した部品を元通りに取り付けます。ヘッドライトカバー固定プレート並びにヘッドライトカバーの取り付けに際しては、外したときのマーキングを頼りに位置関係を調整しながら行います。この位置がずれると、ヘッドライトカバー開閉動作時にボディと干渉したり、格納時にフラットにならなかったりしてしまう場合があります。取付の際にも、HIDの高圧配線類には十分注意して下さい。
サイドカバー内側に光軸調整用蓋が着いていますが、紛失してしまったり、ロックがあまくなって取れ易い状態になっている場合には、テーピング等により塞ぎます。尚、本品は以前からクレーム対象になっているため、2000年モデルから対策品になっているようなので、余裕があれば新しいものに交換すると良いでしょう。

G光軸調整
メモを参考に光軸調整を必ず行います。光軸調整ノブは、こびりついて動き難い場合があるので、調整を行う前にCRC等を吹き付けておくと良いでしょう。正確な位置が分からなくなった場合はヘッドライトバルブ交換日誌を参照。

光軸調整用ノブは、トルクスのE型(メス・8mm)が必要です。
⇒下記「使用レポート」の「配光について」を参照。


<使用レポート>

@明るさについて

直前までPIAA製スーパープラズマの80Wを使用していましたが、色はともかく、明るさそのものについては全く桁違いです。
あまりの明るさに、少々戸惑ってしまうくらいです。点灯直後は放電管の特性でチラ着きが出て少し暗いが、直ぐに安定します。

A同時点灯について
 
頻繁な点灯消灯の繰り返しは、バルブにとっても電子回路にとってもあまり良いこととは言えません。しかし、付属の同時点灯キット(リレーを使用)を使用すると、ローからハイへの切替時は問題ありませんが、再度ローへ戻る時に、一瞬消灯してしまう問題が起きました。
本件の解消と、ヘッドライトOFF時のパッシングで、純正のフォグライトだけではなくハイビーム用として取り付けたスポットライトも点灯させるべく、新回路にしました。
HID付属の同時点灯リレーは使用しません。

純正ヘッドライト用コネクターは、片側にダミーバルブが接続されるのみです。
もう一方は開放未使用となるので、防水処理を十分に行い、しっかり固定して下さい。

この方法なら、ヘッドライトコネクターが無結線状態なので、いざと言う時も即座にハロゲンバルブに戻すことも可能になります。
リレーは接点容量が20A以上で、バッテリーからの取電ケーブルに十分な容量があれば、HIDとハイビームライトそれぞれ一個ずつでも大丈夫です。
これにより、ヘッドライトスイッチがONになっている限り、ロー・ハイの切替に無関係にHIDは点灯を続けることが出来ます。さらにヘッドライトコネクターへの直接接続が原因であるかもしれないヘッドライトドアコントロールモジュールに対する影響も無くなります。

ヘッドライトドアコントロールモジュールは、助手席側ヘッドライト下に在り、二つある内、右側コネクターの一番上「A(白)」にライトスイッチON時にヘッドライトドアを開ける信号として12Vが来ています。
それをHID点灯リレー動作用信号(
点灯用電源ではありません!!)として利用します。
本信号は、ハイ・ローに拘わらずヘッドライトスイッチがONであれば常に12Vがかかるので、そこから分岐取電し、リレーによりバッテリーから電源供給することで、常時HIDは点灯を続けることができます。
配線を一旦切断し、分岐線をつけてギボシ端子で確実に接続します。分岐線には、安全のためダイオードを入れておきました。配線は、絶縁と防水をしっかり行って下さい。

又、ハイビーム信号は、ヘッドライトが格納されている場合ヘッドライトコネクターには行きませんが、ハイビーム用ヒューズ(ボンネット内ヒューズボックス9又は12)には12Vが流れるので、そこから市販のヒューズ取電用キットを利用してリレー用信号を取電し、ヘッドライトと同様にリレーによりバッテリーから電源供給します。
リレーは接点容量が30Aのものを、HID用とスポットライト用それぞれ左右共用で一個ずつ使用しました。また、配線の都合上、HID用は助手席側ヘッドライト後方に、スポットライト用はバッテリー横に装着しました。
注意:バッテリーから取電するケーブルの容量は、HID用で20A、スポットライト用で20Aがそれぞれ必要です。
リレーからの出力線は左右それぞれ分岐されるので、リレー部分から二股分岐にすれば10A規格でもOKです。


B配光について
C5のボッシュ製2灯式ヘッドライトは、非常に特殊な形をしています。あれほどレンズ面が上下も左右も斜めに向いているライトは、他に類を見ません。
バルブと反射鏡自体は車両に対して水平垂直ですが、レンズ面は外側が内側に対して後方に引っ込んでおり、上側も下側に対して引っ込んでいるため、通常のレンズと反射鏡の水平垂直が一致しているヘッドライトの使用はできません。
レンズ面に対して、反射鏡とバルブが上下左右共に傾斜していると、光の反射と配光を均一化することができきれないようで、明るさにムラがあり、均一な配光が得られませんでした。配光ムラについては、ハロゲンバルブでも認識していたので、なおさらそれが酷く感じられるようになりました。
故に、一般的に異型HIDヘッドライト車には、マルチリフレクタータイプ(レンズでは無く反射鏡により配光制御をするタイプ)か、プロジェクタータイプを内蔵させる形式を取らざるを得ないのでしょう。マルチリフレクタータイプは大変優れており、カーショップで見掛けたPIAA社製のHID補助ライトも、表面はバルブがもろ見えのクリアーレンズですが、マルチリフレクターのお陰で、配光は見事に制御されていました。配光エリアを外れると全く眩しくなく、光源も眩しいと感じることはありません。勿論、配光エリア内は見事なまでに均一な明るさをつくりだしていました。
こうなると、もはやフォグだろうとスポットだろうとリフレクターの制御で全てをまかなえることになるので、大きさやレンズ面の模様でライトの機能を判断することはできなくなってしまいました。
配光ムラがある以上、上下だけでなく左右方向の調整も慎重に行う必要があります。
視覚的には、それぞれ2本のスポット状の明るい部分がV字型に出るといった感じで、その明るい部分は、まるでドライブランプを使用しているかのように光々と路面を照らし、それ以外の部分はハロゲンバルブ並のように見えます。

従って、当面の対策としては、ハイビームが無い以上、配光カットを確実化する意味で、レンズ面にテーピングを施すことが簡単で確実です。
実際、テーピングする前は、時折対向車から「上向き点灯をしているぞ!!」とのパッシング警告を何度か受けたことがありましたが、テーピング後には無くなりました。テーピングされたライト表面は、昼間なら少々無様かもしれませんが、ライトを点灯するのは夜間なので、然程気になるものではありません。

抜本的対策としては、マルチリフレクタータイプの反射鏡とクリアレンズを持つ、ヘッドライトハウジングの装着が考えられます。
RAYBRIG製マルチリフレクターヘッドライト装着日誌

いろいろと実験を行った結果、助手席側のヘッドライトレンズ面の図の示す部分にテーピングをすることで対向車への幻惑が避けられました。又、光軸をやや左向きに設定することで、さらに幻惑感を低減することができます。

C車検について
ハイビームが指定されたヘッドライト位置から照射されないことから、本方式によるHID装着は、車検を通すことができません。⇒現在ではBellof社製HL4-Ddriveが装着されているので対応可能になっています。
車検時には、バルブをH4ハロゲンタイプに戻し、HID用の回路をバイパス(つまり純正のヘッドライトコネクターをバルブに接続する)すればOKです。
本バイパスを行った場合には、スポットライトの点灯も停止します。ダミーバルブは、着いたままで問題ありません。


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