Vette Brake Products製ウレタンブッシュ装着日誌
2002年3月24日/2004年12月12日再交換 / 2006年11月4日再交換 / 2010年6月14日ピロブッシュ装着
Installation of "Vette Brake Products" Polyurethane Bushing
[効果:足回りがタイトに変身。ステアリングレスポンスが向上する。サーキット走行には必需品。]
走りを変えると言われるサスペンション用ブッシュ交換を行ないました。今回使用したのはVette
Brake社製のウレタンブッシュキット。ウレタンとは名ばかりと思えるほど硬く、感触的にはまるでプラスチックのようです。ブッシュは全てニ分割になっており、装着に際しては、油圧プレス機等の特別な器具は必要ありません。 今回はC5 Corvette Performance Center Inc.より購入しましたが、インナーシャフトが1本足りませんでした。クレームをつけても返答は無く、対応は最悪でした(ちなみにこちらは後日倒産したようです)。 仕方が無いのでVBP社に直接談判し、ようやく送ってもらえました。 また、どこにどのブッシュとスリーブを使用し、どのワッシャをどこに使うかについての表示は一切無く、装着マニュアルも無いので、外した純正ブッシュの形状を頼りに一つずつ交換して行くしかありませんでした。 尚、2004年12月に新しいものに交換するため、VBP社より購入したものは、パート別にきちんと梱包され、それぞれに写真付の装着マニュアルが付属していました。 本製品に、リアショックのアンダーサポートブッシュは含まれていません。 |
本品装着にあたっては、サスペンション部分の脱着を行うため、作業終了後にホィールアライメントを取り直す必要があります。
また、サスペンションの脱着作業共々、純正ブッシュの取り外しとウレタンブッシュ装着はフロント8箇所、リア8箇所の計16箇所に及び、長時間を必要とする結構大変な作業になります。作業を行う個所の順番についての指定は特にありませんが、ビッグブレーキ装着作業と並行して行ったため、リア側から始めました。
尚、今回作業スペースの制約を受けるものの、ボールジョイント部とタイロッド部の脱着は行わず、Aアームも取り外すことなく装着を行なっています。
ブッシュの取外し作業には、有効径が0〜150mm、ストロークが105〜165mm(爪の取付位置を変えることで対応)のギアプーラーを使用しました。2本爪と3本爪があり、いずれも自動車工具店で2000円以下で手に入るものです。本来はギアを抜き出すための工具ですが、爪を一方に引っ掛けてボルトを回して圧力を掛け中心部にあるものを抜き出すものなので、用途面では同じことになります。3本爪タイプのほうが爪1個当りの負荷が低減するのでお薦めですが、爪を掛ける場所が無い場合は2本爪タイプが必要になります。 To remove and install bushing, Tools are required. These are Gear Puller. |
<警告>
本品装着にあたっては、車両稼動の根幹に関わる部分であり、安全基準に適合する必要性があるので、
必要な知識、技術、工具類が揃っていない場合には行わないで下さい。
本品装着と装着作業により発生するいかなる障害についても当方は一切責任を負いません。
本品の装着は99年モデルに行ったもので、他年式モデルへ装着する場合には異なる部分があります。
<Warning>
Do not install without skill and tool.
I'm never responsible any trouble by installation and work.
The goods installed to Model '99 only.
<注意>
ジャッキアップ後は必ずウマを使用すること。
フロント、リア及びアッパー、ロワー側はどちらから作業を始めても良い。
ギアプーラー等の工具又は機械が無いと純正ブッシュの抜き取りは出来ません。
ブッシュには耐熱性シリコングリスを塗布します。
サスペンションの脱着を行うので、作業後はホィールアライメントを取り直す必要があります。
<Caution>
It is necessary to check Wheel Alignment by Tester after installation.
1.リア編 Rear
ジャッキアップしてウマをかけます。→ジャッキアップについて
コイルオーバーショックを外します(純正品を装着している場合は、ショックとリーフスプリングを外します)。 Remove Coil Over shock(or Leaf Spring and Shock). |
スウェイバーのリンクシャフト側ボルト(16mm)を固定しながらナット(19mm)を緩めて外し、リンクシャフトを外します。 |
F45用ポジションセンサーのシャフト「1」を固定しているナット(10mm)をアッパーAアームから外します(F45装着車のみ)。 Remove shaft of F45 position sensor from Upper A arm(F45 only). |
ロワーAアーム前側固定ボルトナットの前後にアライメントを調整する目盛プレートがあるので、ボルトを緩める前にそれぞれの位置をマーキングしておきます。 Mark alignment plate position of Front and Rear side. |
ロワーAアームの前側ボルトを抜くクリアランスを確保するため、ガソリンタンクのカバーの後側の部分「3」だけを外します。固定は13mmボルト1本「1」と10mmナット「2」で、それ以外を外す必要はありません。 |
ロワーAアームの下を台で支えながら、ロワーAアーム前側固定ナット(21mm)を外し、ボルト(21mm)を抜きます。次にリア側のナット(18mm)を外し、ボルト(15mm)を抜きます。リア側のボルトナットはスウェイバー固定用下側を兼ねています。 Remove Lower A arm supporting under Rotor by jack. |
ロワーAアームを外し、ボールジョイント部分を軸に後ろ方向に回転させ、下部を台で支えます。 Turn round A arm. |
ギアプーラーを装着してセンターのボルト(19mm)をレンチで回し、ブッシュを抜き出します。プーラーの爪をしっかり固定するスペースを確保するために、ブッシュの一部をナイフで削り取ると良いです。固定部分の面積が少ないと作業途中で爪が取れてしまい、その際にアームに傷を着けてしまうので注意が必要です。 Aアーム内部に糟が残っている場合には完全に取り去ります。ブッシュが古くなっていたり、熱等で老朽化が進んでいる場合には、こびり付いてなかなか完全に取り去ることができない場合があります。 以下、各所同じ要領で本作業を行ないます。 Install Gear Puller and remove bushing. As bushings remains inside, use fire or chemical to take out completely. |
ウレタンブッシュとAアーム側に耐熱性のシリコングリスを塗布してから、ブッシュを装着します。インナースリーブにもシリコングリスを塗布してブッシュの中央に挿入します。 スリーブを挿入した段階でブッシュの表面よりもスリーブが飛び出ている場合(案の定、一部精度に問題があった)には、一旦スリーブを抜き、表面をサンダーで削り、装着時に両側共に平らになるよう調整します(削り過ぎに注意)。 Install new bushing with silicone grease by tool. |
前側のブッシュには付属のハット型プレートの小さい方を両側に着けます。 ハット型のプレートはアライメントゲージプレートが着いている個所に使用されます。 |
ハットの部分がスリーブの内径より大きくて、そのままでは入りません。油圧プレス機等で圧入させるのが本来の方法ですが、今回はヤスリで少し削ってから、金槌で叩いて装着しました。 以下、各所同じ要領で作業を行ないます。 |
ロワーAアームを装着します(入り難い場合にはゴム製ハンマーでたたくと良い)。前側取付部分の前側に前側用の目盛の着いたプレートを着けたボルトを入れ、後ろ側には後ろ側用目盛プレートを入れてナットを締めます。前後共にアライメントの目盛が正しい位置になるようボルトヘッド(21mm)とボルト先端部(10mm)にそれぞれレンチを入れて調整します。正しい位置になったら、ボルトのヘッドをレンチで固定し、前後共に取り外し前にマークした位置からプレートがずれないようにナットを締めて行きます。ナットの締め付けトルクは、フロント側が145Nm、リア側が95Nm。最終トルクで締まった段階で目盛がずれている場合には再度微調整を行ないます。 Install Lower A arm with correct bolt and alignment plate. Tighten 145Nm front side and 95Nm rear side. |
アッパーAアームを固定している両側のボルト(18mm)を外します。リア左側「2」はコネクターが有りスペースが狭いので、コネクターを一旦抜くか、高さの低いソケットレンチを使用します。 Remove Upper A arm bolts. |
Aアームを外し、ボールジョイント部分を軸に後ろ方向に回転させたら、ギアプーラーで純正のブッシュを外します。 Remove Upper A arm and remove bushing. |
新しいブッシュを装着し、アッパーAアームを装着します。締め付けトルクは110Nm。 F45用車高センサーシャフトを装着します。ボルトの締め付けトルクは3Nm。 Install new bushingand Upper A arm bolts tighten 110Nm and install shaft of position sensor nut tighten 3Nm. |
スウェイバーのリンクシャフトを装着し、コイルオーバーショックを装着します。純正の場合はリーフスプリングとショックを装着します。 .ロワー側固定ボルトナット(24mm)を取り付けます。締め付けトルクは220Nm。尚、本ボルトナットの増し締めはアッパー側を固定してから行ないます。 Install Coil Over Shock(or Leaf Spring and shock) Install lower bolt and nut tighten 220Nm after installed upper. |
アッパー固定用ハットを装着します。ボルト(13mm)の締め付けトルクは29.5Nm。 Install upper bolts tighten 29.5Nm. |
2.フロント編 Front
コイルオーバーショックを外します(純正品を装着している場合は、ショックとリーフスプリングを外します)。 Remove Coil Over Shock(or Leaf Spring and Shock). |
スウェイバーのリンクシャフト側ボルト(16mm)を固定しながらナット(19mm)を緩めて外し、リンクシャフトを外します。 Remove Link Shaft of Sway Bar. |
F45用ポジションセンサーのシャフト「2」を固定しているナット(10mm)をアッパーAアームから外します。 Remove Position Sensor shaft from Upper A arm. |
ロワーAアーム下を台で支えながら、アッパーAアームを固定しているボルト(15mm)を外します。裏側のワッシャは、場所によって装着されている枚数が違うので、場所と数を記録しておきます。ちなみに私の場合は前後左右共に違っていて、右のフロント側が前後2枚ずつ、リア側が前後1枚ずつで、左のフロント側は前後1枚ずつ、リア側は、前が無し、後ろが1枚でした。 Support Rotor by jack and remove Upper A arm bolts. |
Aアームのブッシュをサポート金具と共に外します。ボールジョイント部を軸にして前後どちらか作業のし易い方向に回転させ、ブッシュを外します。この場所に限りギアプーラーの爪のストロークが長過ぎて装着ができなかったため、2本爪の方を使用しました。ブッシュは両方共に外側へ抜き出します。 Remove Upper A arm and bushing. |
新しいブッシュのサポート金具から、ワッシャプレートを固定している脱落防止リングを外し、正しい方向でAアームに装着します。再びリングを装着してワッシャプレートを固定します。リング装着する方がそれぞれ内側になります。 Remove ring from bushing and install. Install ring again. |
リングの脱着には専用工具が必要です。 It is necessary to use tool to remove and install ring. |
アッパーAアームを装着します。サポート金具とシャーシの間にはワッシャを入れます。アライメントの基本はロワー側で決めるはずなので、これを機会に全ての個所のワッシャを1枚にしました。 ボルト(15mm)の締め付けトルクは65Nm。 F45用ポジションセンサーのシャフトを装着します。ボルト(10mm)の締め付けトルクは7Nm。 Install Upper A arm and bolts tighten 65Nm. Install Position Sensor shaft nut tighten 7Nm. |
ロワーAアームボルト前後共にアライメントを調整する目盛プレートが前後(計4ヶ所)にあるので、ボルトを緩める前にそれぞれの位置をマーキングしておきます。 また前後それぞれ専用なので、どちら側用のボルトと目盛であるかも明示しておきます。 Mark alignment plate position. |
ロワーAアームを固定しているボルト(21mm)とナット(21mm)を外します。 Remove Lower A arm bolts. |
ロワーAアームを外し、ボールジョイント部を軸に前後どちらか作業をし易い方向に回転させ、Aアームのブッシュをそれぞれ外側へ抜き出します。 Remove Lower A arm and bushing. |
新しいブッシュを装着し、スリーブを入れ、前後共にハットプレートの大きい方を両側に装着します。ハット型のプレートはアライメントゲージプレートが着いている部分に使用されます。 Install new bushing with shaft and plate. |
ロワーAアームを装着します。前後の取付部分それぞれに正しいボルトに正しい目盛プレートを入れて装着し、ナット側にも正しい目盛プレートを入れてナットを締めます。 Install Lower A arm. |
前後共にアライメントの目盛が正しい位置になるようボルトヘッド(21mm)とボルト先端部(10mm)にそれぞれレンチを入れて調整します。正しい位置になったら、ボルトのヘッドをレンチで固定し、前後共に取り外し前にマークした位置からプレートがずれないようにナット(21mm)を締めて行きます。締め付けトルクは170Nm。 Set alignment plate at the same position and nuts tighten 170Nm. |
スウェイバーのリンクシャフトを装着し、コイルオーバーショックのアッパー側を固定します。純正の場合はリーフスプリングとショックを装着します。 Install Upper bolts. |
ロワーAアーム側の固定ボルトナット(13mm)を取り付けます。ナットの締め付けトルクは28Nm。 Install lower bolts on lower control arm. nuts tighten 28Nm. |
3.アライメント調整 Alignment
いくら取外し前の目盛通りに装着しても確実にズレが生じているので、ホィールアライメントを必ず取り直す必要があります。
アライメント調整は専用の機器とデータが無いと駄目なので、信頼できる機器設備の整った工場で行ないます。
Check Wheel Alignment by Tester.
4.装着レポート
作業はビッグブレーキ装着及びブレーキフルード交換と並行して行ったのでブッシュ交換作業だけの実質的な時間の算出はできませんが、全ての装着作業時間は延べ24時間に及びました。
かねがね評判は聞き及んでいましたが、効果はなかなかのもので、足回りがタイトになった感じを受けました。ともかく余計な遊びが一切無く、サスペンション構成部品全てが本来の動作を確実に行っていることが良く判ると言った感じです。ゴムのブッシュによる軟弱な伸縮が、せっかくのサスペンション能力を乗り心地と引き換えに犠牲にしていたとすら思えました。ちょうどコイルオーバーショックのアッパーサポートをゴムからピロに交換した時に近しい感覚です。今のところシリコングリスをたっぷり塗ったお陰で擦れ音は発生していません。リアショックのアンダーサポートブッシュは、これ以上の乗り心地悪化を防ぐ意味でもウレタンへの交換はしないほうが良いだろうと思っています。
しかし、いくら効果絶大であっても、たかだか?ブッシュ交換のためにこれだけ大変な作業を行わなければならないのが少々問題かもしれません。
ブッシュそのものは、せいぜい高くても3万円程度なのに、交換を業務依頼すれば、間違い無く作業工賃のほうが遥かに高額になってしまうので、ブッシュ交換を行う場合は、単独作業依頼はせずに他のサスペンションやブレーキ関連パーツ交換共々行ったほうがお得ですね。
また、自分で頑張って交換作業を実施したとしても、結局ホィールアライメントの取り直しをするための出費は避けられないことになります。
ちなみに私の場合は、コイルオーバーショック及びピロアッパーマウント装着、ビッグブレーキ装着、ホィール&タイヤ交換、今回のブッシュ交換全てが完了した段階でアライメント調整を実施しました。
サーキット走行により大きな負荷を受け続けてきたブッシュを新しいものに交換しました。 ロワー側を交換するとアライメント調整が必要になりますので、今回はアッパー側だけです。 装着作業の容易性から、同じVBP製にしました。30分ほどで交換は完了です。 フロントのアッパーは、構造上、前後に若干動いてしまうため、ワッシャーを2枚(↓部分)入れて止めました。 取り外したものは亀裂こそ未だ入っていませんでしたが、周囲にささくれが出来ており、かなり弱っていたようです(入替り画像)。 |
リア側は、フロントに比べると、見た目上のダメージはあまり感じられませんでしたが、それでも新しいものに比べるとかなり柔らかくなっていました。 こちらも交換作業は30分ほどで終わりです。 アッパー側のみの交換ですが、それでも足回りがタイトに変貌しました。 ブッシュは少しずつ時間をかけて劣化して行きますから、それを体感することはなかなか難しいですね。こうして交換してみて初めて気が付くものです。 |
フロントロワーAアームのブッシュも新しいものに交換しました。 アッパー側に比べると、見た目の劣化はそれほどではありませんが、やはり硬さがまるで違いました。これでは、いくらグリスアップしても鳴きが出てしまうはずですね。 リアロワーのブッシュは、ファイナルが3.42の強化型ディファレンシャルギアの装着作業が完了してから行う予定です。 |
期間として約2年、サーキット走行20回でサスペンションのブッシュ類が寿命を迎えたようで、アライメント調整にも支障が出始めました。 前回も2年ほどで駄目になりましたから、通常の消耗だと思います。 そこで、今回も前回同様にVBP社製のブッシュに交換しました。 VBP製は2分割式なのでブッシュ自体は取り外しも装着も簡単ですが、アライメント調整を行うロワー側部分は両側から金属製のプレートでブッシュを挟まねばなりません。 これをAアームにブッシュを装着してからセンターシャフトに圧入するのが唯一厄介な作業となります。 装着説明書には、まずハンマーで叩いて先端が入ったら万力で挟んで装着するように指示されていますが、Aアームが完全に外れていないと容易にできない作業です。 今回は新たに購入したハンディ型ブッシュ圧入出工具のお陰で、Aアームを完全に外さなくてもスムースに作業を進めることがかないました。 使い方は簡単で、適合するアダプターを着けて両端を挟んだら、ソケットレンチや電動インパクトで締めれば完了ですから、大変便利な工具です。 VPB製ブッシュの取り外しは特に工具を使わずに簡単に行えますので圧入機能だけを使いましたが、アダプターの交換で圧入されているブッシュの取り外しにも使用できます。 |
PFADT製のスフェリカルベアリングブッシュを装着しました。 詳細はこちらです。 |