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<C5日誌>「赤枠で表示されている画像は、マウスポインターを置くと別の画像が表示されます」

2010年

8月9日

FSW走行会参加
FSWにて 7月19日、アドバンスオートさん主催のFSW走行会に参加してきました。
天候は快晴、外気温が32℃に達する真夏日となりました。
これほど暑いFSWは初めてです。

ブッシュをピロ化してから初の長距離走行となります。
空気圧を3kgfにしたSタイヤで往復した高速道路における乗り心地はウレタンブッシュの時と大差は無く、一般道においても振動がよりダイレクトに伝わって来る感じになった以外は驚くほどの悪化はありませんでした。
もっとも、既にコイルオーバーのサポートが全てピロになっていますから、これ以上の悪化は起こり難い状況なのかもしれませんが・・・(笑)。
FSWにて サーキット走行においては、路面状況がより敏感に伝わってくるようになり、今までで最もタイトでクイックな足回りになったと感じられました。
これはスウェイバーピロサポートも効果の一因であると思います。
また、サスペンションの挙動が大変スムースになりました。
私の場合は、そのお陰でタイムアップしたわけではありませんが(笑)、走りを楽しむと言う意味において十分効果があったと勝手に思っています(笑)。
今回、FSWの特別な配慮により窓を開けての走行が許可されていましたが、それでも15分も走ると汗まみれになって人間にとっても大変厳しい環境でした。
水温が100℃になった時、油温・ATF温度・デフ油温は110〜115℃くらいで推移していましたので温度管理に問題は起こりませんでしたが、外気導入による自然冷却しか行っていない水冷インタークーラーのクーラント温度が80℃を超えてしまうとさすがにデトネーションが発生してパワーリデューズが働いたらしく、休憩後の後半、2速フルスロットル加速時に激しい息つきが発生するようになりましたので、そこで走行を終了しました。
エラー発生は何もありませんし、帰路においても特に問題は起こらなかったので、何かが壊れてしまったわけでは無さそうです(笑)。
圧縮比がN/Aのまま加給機を後装着したエンジンの宿命ですね。
前回皮むき程度にしかならなかったSタイヤはドロドロに溶けて3分の1くらい減りました。
C6 ZR-1 コルベットの参加は僅か3台でしたが、C6ZR-1が居ました。
実物を目前で見るのは初めてです。
エンジンルームいっぱいに詰め込まれた6.2L加給機付エンジンは、いかにもハイパワーであることを感じさせますが、その一方で、サーキット走行をするためにはかなり念入りな熱対策が必要ではないかと思いました。

ゲスト来訪
7月24日、C5乗りのNh氏がロータスエキシージ乗りのHe氏と共に来訪されました。
今回の主な目的は、Nh氏のC5(2002年モデル)にハイパコ製リーフスプリングHPTとビルシュタインHDショック並びにPFADT製スウェイバー(コンペティション)の装着作業を行うことです。
本来なら、たとえばKMクラフトガレージさんにパーツを持ち込んで装着してもらうのが最も簡単で確実な方法ですが、日頃自分が乗っていて何がどのように稼動して結果がどう出ているのかについて気遣うことが無かったため、これを機会に自動車工学の勉強をしてみたいと言うご本人の希望により実施するはこびとなりました。

車高を下げるためのパーツを組み込んでいるわけではないのに、あまりに低くなっていたため、我が家の低床対応2柱リフトであってもサポートバーを入れることができず、リアをジャッキアップをする必要がありました!!
また、リフトアップした段階で凄まじいブッシュの鳴き音と共にタイヤとフェンダーの隙間が10倍ほど空きましたから、これは間違いなくスプリングとショックがヘタっていると感じました。
まずは、ブレーキキャリパーとローターを外します。
キャリパー(BremboF40)は、傷が着かないように防護して袋に入れ、落ちないようにしっかり固定しておきます。
作業中に万一落ちようものなら、一発でステンメッシュテフロンブレーキホースが折れてしまいますから。
スウェイバーを外したらAアーム下を馬で支え、リフトダウンしてショックの伸び側の負荷が無くなったら外します。
ショックアッパー側は、クーラントとウォッシャー液タンクを外してアクセスします。
外したショックは小さな力で簡単に縮んでしまい、さらに手を離しても伸びてくれませんでしたから、完全に駄目です(笑)。
タイロッドエンドを外したら、この状態でリーフスプリングサポートフランジを外します。
そして、片側のAアームアッパー側を外して下げるとようやくリーフスプリングの伸び側負荷が無くなって抜き出すことができました。
この作業、文章で表現すると簡単に見えますが、実際は一人がブレーキキャリパーを持ち、もう一人がAアームを支え、残りの一人がリーフスプリングを抜き出すと言う3人がかりの大作業です(笑)。
ハイパコ製リーフスプリングは純正に比べて湾曲の度合いが小さいため、装着後Aアームアッパーを固定してタイロッドエンドを装着しても伸び側の負荷がかかることはありません。
スプリングが中央位置になるように調整したら、再びAアーム下に馬を置いてリフトダウンし、左右均等に車重負荷をかけてスプリングが縮んで中央部が水平になってから、固定フランジを装着します。
新しいビルシュタインHDショックの組立は、Nh氏とHe氏が担当しました。
正しく稼動するショックは、体重を掛けて力いっぱい押すとようやく縮み、手を放すと直ぐに伸びてきます。
ショックを装着する際に判明した純正との違いは、ロワーサポートバーの角度です。
純正のバーは傾きをつけて装着されているので、無負荷の状態でショックが伸びきって斜めになっていても比較的簡単に脱着ができるのですが、ビルシュタインは傾きがほとんど無く、ほぼ直立した状態で固定されているため、負荷をかけてショックが縮んで傾斜が緩和された状態にしないと固定することができないのです。
バーはブッシュと一体になっているので、回転させることはできません。
どちらが適切であるのかについては微妙なところです。
その意味から、やはりこの部分はピロ構造になっている方が望ましいと思いましたが、ピロ化の改造をするのは時間的に難しいので諦め、Aアーム下に馬を入れてリフトダウンし、負荷をかけて適切な位置にしてからロワー側の固定を行いました。
ショックを装着したらF45シミュレーターを接続します。
シミュレーターは、ショック本体に接続されているものとAアーム位置検知センサーの両方に使います。
不要になったAアーム位置検知用のセンサー本体は重量軽減のために取り外しました。
PFADTスウェイバー組立用アダプター
PFADTスウェイバー
ブレーキローター、キャリパーを装着したら、続いてスウェイバーの装着です。
最新のPFADT製スウェイバーは、エンドバーの挿入を簡単にするためのアダプターが付属しているので、短時間で簡単に正しい角度で挿入することができます。
単なるプラスチック製の棒ですが、大変便利なもので、正しい角度と方向が直ぐに出せ、労せず短時間で組み立てができました。

膨張係数が異なる金属の接続ですから、いくら工作精度が高くても状況によってはエンドバー側の内径がやや小さくて途中で入り難くなってしまうことがありますが、その場合でも無理をせずにエンドバーを暖めて膨張させてから行うとスムースに入ります。
エンドバーを広げたり金属製ハンマー等で叩いて入れては絶対に駄目です。

実は、この作業はエンドリンクシャフトの組立と共に前の週に私が行っておいたのですが、あまりに直ぐに終わってしまったので、少々拍子抜けでした(笑)。
私が装着した時にこのアダプターがあれば、少なくても2時間は作業が短縮されたことでしょう(笑)。

実際、事前組立を行っていたのが全て無駄になり(笑)、エンドバーが逆の角度に差し込まれていたり、リングストッパーが内外逆であったり、サポートブッシュのリア用に切り込みが入っていないことが露見したため何度も差し替えを行いましたが、1分もかからずできました。
アダプターは装着が済んでしまえば用済みのものですが、また使うことになるかもしれませんので(笑)、私が保管することにしました。
付属の新しいウレタンブッシュにグリスを塗って装着し、位置が確定したらストッパーリングを固定します。
エンドリンクシャフトをAアームに固定して終了です。
ちなみに、使われているHEXボルトヘッドは全てインチ規格ですので、間違ってメートル規格の工具を使わないように注意が必要です。

設定は、ハイパコのリーフスプリングがT1相当と称されていますからポジション@(弱)にしましたが、今後の状況に応じて変えることになるかもしれません。


リアもフロントと基本的に同じ手順ですが、リーフスプリングの取付方法の違いにより脱着がフロントよりも遥かに簡単で楽です。
リーフスプリングの下をミッションジャッキで上げて伸び側の負荷を支えたら、固定用ボルトを外すだけで取れます。Aアームやタイロッドエンドを外す必要はありません。
また、ショックもアッパーが車体側に直接固定されておらずサポートフランジごと取れますから、脱着も短時間で済みます。

スプリングレートが高くなると車高も高くなってしまうのではないかと思い、前後共に最低高になるように設定したのですが、ハイパコの製品はそれを計算して形状を決めているので、リフトダウンして接地した段階でも予想外に低くなりました。
このままだと低過ぎてショックのストロークが不足してしまいますから、Aアーム固定用ボルトを回してプリロードをかけました。
このボルトにはブッシュが着いていますが、だいぶくたびれていましたから、近い内にウレタン製に交換した方がよさそうです。

リアの作業が順調に進んでいたので、ワンセット手元に余っていたPFADT社ピロブッシュのリアショックロワー用を装着することにしました。
これは、単品でも販売されているものですので、効果が大きいのでしょう。
また、VetteBrake社のウレタンブッシュキットにはこの部分は含まれていませんから、純正品のままです。
純正ゴムブッシュの抜き出しは、専用の工具を使ってオーナーが自らやりました。
ピロは右側のバリ取りが少々必要であっただけでスムースに入り、直ぐに装着が終わりましたが、ショックを装着したところ、何故かピロとショックの隙間が2mmほど出てしまいました。
そんなはずは無いと思いつつ抜き出した純正ブッシュのスリーブ幅を計るとピロブッシュと同じでした。
まさかと思いつつ今度はショックロワー側の内寸を計ったところ、何とビルシュタインが純正より2mmほど広いのです!!
ショックは年式を問わずC5、C6どちらにも使えると表示されており、特に注意書きや付属品もありませんが、ともかくこのままで装着したくはありません。
ピロでなくゴムブッシュであってもこれだけ隙間が空いたら結果は同じであると思うのですが、誤差の最大値を考えた設計になっている所為なのでしょうか・・・。
そこで、止むを得ず急遽手持ちのワッシャ(M16/2mm厚)を加工して隙間に入れその場をしのぎましたが、後日隙間にぴったり入る厚さと大きさのスペーサーを製作して交換することにしました。

装着が全て終わった段階で少し走ってもらったところ、車高がさらに下がったので、フェンダーとタイヤの間に指が3本が入る程度になるまでさらにプリロードをかけました。
ボルト位置からすると、前後共に純正とほぼ同じくらいの位置にしても大丈夫そうです。
その意味においてもハイパコ製リーフスプリングはよく考えられています。

作業中にウレタンブッシュのグリスアップを念入り行ったので、ブッシュの盛大なキシミ音はほぼ消えました。

いくら老齢の親父作業とは言え環境は整備工場並みですし、さらに有能な助手が2名もいましたからもっと早く終わると思っていたのですが、結局、土曜日の午後から月曜日の朝まで延べ12時間ほどかかりました。
しかし、のんびりワイワイしながらの作業でしたし、何よりも毎日30℃を越す猛暑であったことや想定外の問題が発生しましたから、こんなものでしょう(笑)。
かなり硬くなったものの、タイトでシャープな足回りにオーナーはご満悦の様子でした。
純正のリーフが度重なるサーキット走行によりショックと共にかなりヘタって来ていましたから余計に硬くなったと感じられたのだと思いますが、私としてはそれほどでも無く、十分街乗りに対応すると思いますし、Sタイヤによるサーキット走行にも対応できる水準になっていると思います。

しばらくサーキット走行はされないとのことですので、まずは一般道走行で慣らしをして、適当な時期に再来訪していただき、点検作業をします。

尚、掲載写真は全てHe氏が撮影したものをご提供いただきました。
若き日の水戸黄門さま お土産をいただきました。
「若き日の水戸黄門さま」と言う名前の芋焼酎です。
なかなかの美味です。

ラジエター用電動ファン交換
SPAL VA01-AP90/VLL-66A スーパーチャージャーを装着したエンジンは発生する熱量が増大するため、高負荷走行をする場合は大掛かりな冷却対策が必然となります。
特に外気温が高い時の水温上昇抑制対策は、高効率のラジエターを使っても厳しいものがあります。
外気導入量を高めることは効果的な方策ですが、C5の場合、ラジエターの背部が狭いので排出効率にも対策が必然です。
しかし、残念ながらラジエターやエンジンを移動させることが適いませんから、より強力な電動ファンの装着により強制排出力を高めることも方策の一つになります。
既に純正電動ファンよりも強力なSPAL製ファンを装着していますが、同じ直径(12インチ)でさらに強力なものが製品として出ていたので、そちらに交換してみることにしました。
型番はVA01-AP90/VLL-66Aで、SPAL USAに直接オーダーしました。
現行の12インチサイズでは最強のものになります。
新しいものはフィンの形状がカーブドになって枚数も増加し、発生風量は1630cfmから1820cfmにアップ、モーターも大きくなって消費電力は20Aから33Aに増大しています。
大きさについては、厚みと重量が僅かながら増加しています。
既存品と動作比較テスト モーターの大きさや消費電力から推して既存品より強力になっていることは明らかだろうと思いましたが、一応、装着前に片側だけ新しいものに交換して動作比較テストを行ったところ、190cfm程度のアップでもかなり強力になっていることが体感できました。
シュラウドに取付 厚さが増したと言っても純正品よりはまだ薄いのですが、背部のスペースを少しでも多く取っておきたいことと、なるべくラジエターに密着させたいことから、ファンの取付位置を1cmほどラジエター側に近付くようにスペーサーを入れてシュラウドに固定しました。
稼動用電源配線 最大消費電力が1基当り33Aになるため純正のリレーとハーネスでは対応しきれませんから、新たに+Bターミナルから60AのMAXIヒューズを介して配線を通し、接点容量60Aのリレーを使ってON/OFFを行うことにしました。
配線は幹線に5.5スケア線を、接続は平型W端子を使用しました。
また、端子と配線の接続は圧着だけでなく半田付けを行っています。
電動ファン回路図 C5の電動ファンは2段階制御で、低回転時には2基のファンが直列接続になって半分の電圧で稼動し、高回転時には並列接続になって既定電圧の稼動になります。
この切替は、エンジンルームのリレーヒューズボックス内の2個のリレー43、44によって行われています。
そのため、単に2基のファンへの配線をリレーに接続することはできません。
電動ファン稼動用リレー そこで、回路図(PDF)のように4個のリレー(接点容量60A)を組み合わせたものにしました。
低回転の直列稼動時は、純正電動ファン用コネクター左用のプラスと右用のマイナス一方の電圧を受けると2個のリレー(1と2)がONになって電力を供給します。
半分の電圧で直列運転している時の電流は2基で30Aほどですので、直列するための配線は純正の配線と回路を使いましたが、せっかくですので使わずに行う回路も考えました。
追加のリレーは、無稼動時に回路がONになるように接続されているので、そのまま直列稼動を行い、並列接続になった際は、純正電動ファンリレー43(又は44)のマイナス側ターミナルからマイナス電位を受けると回路がOFFになって直列接続が解除されるのですが、PCMから供給されるリレー稼動用電源を使うため、電流負荷が変動することでエラー発生があるかもしれませんので、こちらは後日検証してから変更することにしています。
高回転の並列運転になると、純正電動ファン用コネクターの左用右用両方のプラスとマイナスから電圧を受けて、さらに2個のリレー(3と4)がONになって電力を供給します。
以前装着した強制回転用回路はそのまま残してあります。
動作確認用LEDは定電流ダイオードが入っているので、半分の電圧で直列稼動しているときにも点灯します。
リレーは水冷インタークーラー用ラジエター背部に装着したので、結線後カバーを着けて厳重に防水遮熱処理をしました。
EFI Live アイドリング設定画面 装着後の動作テストにおいて、明らかに以前より強力になっていることが確かめられましたが、アイドリング状態でオイルクーラー等の追加電動ファンや他の電装品と共にフル稼働すると、いくら高容量ジェネレーターであっても電力不足に陥ってしまいましたので、EFI LiveでP/Nレンジ時のアイドリング回転数を650rpmから850rpmに、Dレンジ時を750rpmにアップさせました。
これにより、P/Nレンジなら追加電動ファンを含む全電装品を稼動させても13V以上を維持し、Dレンジでも追加電動ファンが稼動しなければ13V以下にはなりません。
Dレンジのアイドリングをむやみに高く設定すると、走行中にアクセルをOFFにしてもまだ少し踏み込んでいるのと同じ状態になって速度が落ちなくなってしまいますので、注意が必要です。
今年の猛暑下ではエアコンをフル稼働させながら東京都内の渋滞路を長時間運転していると水温が90℃を超えてしまうことがありましたが、一回り強力になった電動ファンの効果でこれも解消されました。

フロントショックロワーサポート交換 LGモータースポーツ社コイルオーバーを購入した際に着いていたフロントショックロワーサポートバーに錆が出て来ていたので、以前製作しておいたステンレス製のものに交換しました。
コイルオーバーの場合、ここに車重がもろにかかりますから、万一でも折れてしまうと大変なことになります。
過去、別の製品を使っていた時に旅先で折れて痛い目にあったことがあります(笑)。
スフェリカルベアリングは同じ規格のものを国内で入手することができないので、以前USAから取り寄せておいた新しいものを使いました。
ついでなので他のスフェリカルベアリングをチェックしたところ、アッパーサポート用(NMB#18)に問題は生じていませんでしたが、リアショックロワーに着いているフロントロワーと同じものに少々錆が出ていたので、こちらも新しいものに交換しました。

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