<RAYBRIG製HIDアシストランプ装着日誌> 
Installation of HID Lamp System as Head Light
 
先にBELLOF製H4用HIDシステムを、純正ヘッドライトハウジングに装着しましたが、ハウジングがレンズカットによる配光のみであったために、強大なHID光源に対応できず、配光ムラが発生していました。
特にC5のハウジングは、小さな反射鏡に対してレンズ面のエリアが倍近い上、反射鏡に対して上下左右両方向に傾斜しているため、正確な配光制御を行うには、かなり無理が伴っています。
光量が通常のハロゲンであれば然程気になりませんが、高照度バルブの装着により、配光ムラが目立ってきてしまいます。
ましてやHIDともなると、激しい明暗の差異が反ってマイナスになりかねない状況から、別のマルチリフレクタータイプのライトをヘッドライトの替わりに装着する方法を図ってみました。
使用したのは、RAYBRIG製のHIDアシストランプシリーズ100(競技用指定品)。⇒RAYBRIG
思ったよりも取付加工が大変だったので、とりあえず現状は片側だけで終わっていますが、それでも効果は絶大でした。


 
【注意】

HIDそのものは車検対応品として認定され、装着使用自体は違法行為ではありませんが、本装着は車検対応ではありません。

作業後に光軸調整が必要なので、作業前に壁等を使って正しい位置をマーキングをしておくこと。
Check angle of Head lights on screen before work.
キセノンバルブは思われているよりも遥かに壊れやすいものなので取り扱いには十分注意すること。
Be careful damage of Xenon Bulb.
ヘッドライトドアコントロールモジュールの誤動作を防ぐために、ダミーバルブの装着が必要です。
It is necessary to install Dummy Bulb to avoid malfunction of HDCM.



<方法論>

HIDに対応するためには、マルチリフレクタータイプ又はプロジェクタータイプによる正確な配光が必要になります。
プロジェクタータイプは奥行が長いので、装着スペース的に困難を伴うことから、マルチリフレクタータイプを使用することにしました。
本来ならば、適合するリフレクターを他車の中から探し、それをヘッドライトハウジングに取り付けることが最も良い方法ですが、残念ながら現状で適合品を見つけることができなかったので、以下の方法にしました。

@使用ライトの選定
 

ライトは、RAYBRIG製HIDアシストランプシリーズ100を、片側2灯ずつ計4灯使用(但し、現在は未だ片側のみ装着)。
本品は、直径100φのHIDを使用したマルチリフレクタータイプの補助ライトで、配光制御性に大変優れたクリアーレンズタイプのものです。
カーショップ等で2灯セットで10万円位です。
キットにはライトリレーやバッテリー取電用ハーネス、ヒューズ類一式全てが入っており、ライト本体、インバーター、イグナイター共にしっかりとした防水処理が行われていました。
2灯だけだと、スポット性が高い補助ライトであるが故に、ヘッドライトとして持たなければならない広範囲の均等照射ができきれないのではないかと思い、片側2灯使用にしました。ちなみにインバーターとイグナイターは、大きさ、形状、コネクター共にBELLOF製と全く同じものでした!!(勿論、互換性は全く無いので、間違っても接続はしないこと)。

他の候補としては、フォードマスタング用のチューニングパーツとしてクリアレンズのマルチリフレクタータイプがあります(但しバルブはHB5)。
又、トヨタのマークU用に製作されているものが、H4バルブでマルチリフレクタータイプの反射鏡を持ち、角型2灯式ヘッドライトと同じ大きさです。
JEEPのグランドチェロキー用も同様でした。
ただこれらのパーツを加工して取り付ける(但しパーツとしてリフレクターだけを調達することが可能かどうか不明)くらいならば、RAYBRIGから、間もなく登場するであろう角型2灯式のマルチリフレクタータイプヘッドライトを使用するほうが、早くて簡単でしょう。


AUS仕様ヘッドライトハウジングレンズの装着
 

丸型2灯式のヘッドライトデザインは、C5には似合わないと勝手に判断し、レンズ面についてはクリアーレンズであるUS本国仕様のものを使用するつもりでした。しかし実際はクリアータイプでは無く、一般的な反射鏡とレンズカットによるものであったため、急遽本案は中止です。
但し、せっかく取寄せたのだから、このまま試しにHIDバルブ(HB4)を装着して使用してみますが・・・。
USヘッドライト装着日誌


<装着>

@ヘッドライトの取り外し  Remove head light

ヘッドライト取り外し方法については、HID装着日誌を参照。

Aインバーター・イグナイターの装着 Install Inverter and Igniter

本装着もHID装着日誌と同じです。
 

但し、インバーターとイグナイターが二つずつになるので、インバーターは2段重ねにして、本体の4mmネジ穴を利用して固定します。
イグナイターは、インバーターの上のスペースのヘッドライトユニットを取付固定しているボルトナットにバーを渡し、それにやはり2段重ねで固定し取り付けました。
純正ヘッドライトの光軸調整用ノブ(外側の軸が長い方)が、ヘッドライト格納時にイグナイターと干渉したので、取り外しました。
尚、RAYBRIG製は、ライト本体とイグナイターの間は結線済みで分離が出来ないので、イグナイターの固定はライト本体の固定が終了してからの作業になります。
リトラクト動作用にライトとイグナイター間の結線に可動性を持たせるため、装着済みのコルゲートチューブは外しました(外す際に中の高圧ケーブルを傷付けたり、強く引っ張ったりしないように注意します)。

Bダミーバルブの装着(重要!!)Install Dummy Bulb(Important)

C5のヘッドライト開閉用コントローラーの誤動作を解消するために、ヘッドライト信号のマイナスとロービーム用プラスの間にダミーバルブを装着します。回路図等についてはHID装着日誌を参照。

Cライトの装着  Install head light

T.シェードの製作 Install shade for bulb
 

アシストライト用として、配光が左右方向に広く設定されているため、ヘッドライトのような高い位置へ装着すると右側方向への配光が広過ぎ、対向車へ幻惑を与えてしまいます。そこで光源の直視防止を兼ね、右側方向への配光を制限するシェードを製作して取り付けました。

本作業を行うためには、ライト本体を分解する必要がありますが、その際には、特殊なドライバーヘッド(トルクス型センターピン付)が必要です。
ライト周囲のボルト5本(内2本は、取付金具固定を兼用)を取り、さらに横側の1本を取ります。
ゴムキャップを抜くとバルブの裏側が出て来るので、バルブの左側真横のプラスネジ(3mm、これ1本だけ。対角線状に2本あるネジは取る必要はありません。写真のハウジング内側左のネジ穴がそれです。)を外すと、バルブを引き出すことができます。
但し、リフレクターをハウジングから外すことは出来ません。

シェードの形状は、何度か試行錯誤を繰り返した後、基本的にH4用キセノンバルブに使用されているものと同じ形状である、左図のようなものになりました。この形状により右側への配光はほぼ全面的に阻止され、正面と左側だけの配光になります。
図だけでは分かり難いかもしれませんが、全体は四角柱状で、上と左側上半分が開口部となり、前、下、右側は全面遮光となります。
下側は、ライト本体の形状に合わせて加工するには複雑過ぎるので、図にある削り取り部分を削り、形状を簡素化しました。
シェードの材質は、ステンレスをミラーコーティングしたもの(ハサミで切れる薄い板)を使用し、出来たものを裏側から差込み、耳の部分をリフレクターに穴を空けタップを切ってネジ(3mm)で固定しました。
本ライトのバルブ装着は、写真左の内部中心円形部分より手前側にされるので、それより奥側の四角い部分については削っても反射鏡のエリアが若干減少するだけで、実質的な障害を来すことはありません。
但し、このように本体を解体して行う作業について発生する、いかなる事態についても保証されないことを納得した上でのみ行える作業であることを自覚しておかなければなりません。また、バルブの下を通っている線がシェードと接触しないように注意が必要です。
特に最大の注意点は、機器の損壊問題では無く、高電圧による感電などで怪我(最悪の場合は死んでしまう可能性も有る!!)をすることです。

U.ライト固定用プレートの製作  Install plate to install lights on factory headlight hausing
 

ヘッドライトハウジングカバー固定プレート下の、アルミ製ライトハウジングプレートに取付固定用プレート(走行振動で揺れない強度を持たせるのでアルミ製5mmを使用)を取付け、それにRAYBRIGのライト取付金具を取付けます。
前後左右の位置関係については、実際に取り付けた時にスペース内に収まることと、ライト前面カバーの開口部と面一になるように設定します。

作業を行うため、まずヘッドライトハウジング全体を車体から取り外します。⇒参照
 

ヘッドライト用コネクターを外し、3ヶ所のナット(10mm)と、2ヶ所のボルト(13mm)を外すと、ハウジング全体が取れるので、注意して取り出します。
外した途端に、ハウジング全体が下に落下するので、支えながら行います。
製作したプレートの寸法は左図のとおり。5mm厚のアルミ板を裁断するので、電動サンダーにアルミ用刃を付けて行いました。
アルミの粉は体に良くないので、マスクの使用を薦めます。また、風通しの良い場所で作業をします。
何故このような奇妙な形になったのかというと、上に取り付けるヘッドライトカバー固定プレートとの干渉を避けなければならないためです。
出来上がったアルミ板は、取付強度確保のため、最低でも5ヶ所以上ライトハウジングプレートに穴を空けて共締めします。
ライトハウジングから、前側にアルミ板が飛出る距離は、50mm。
使用するボルトナットもM6〜M8は必要です。内側は開閉動作用の支柱があり、その部分への穴空け、ボルト締めはできないので、既存の支柱取付ネジ穴を利用して、穴径を広げてから、新たに4mmのボルトナットで共締めすると共に、中央部に中空部分ができるので、その部分にはワッシャーを利用して隙間を埋め、ボルト止めを行います。
ライトハウジング裏側は、強度確保のため格子構造になっているので、格子の中心に固定用ボルトナットが来るようにします。

また、ライトカバー取付プレートを取り付ける際に、プレートがボルト類に干渉しないように位置を考えます。
但し、中央部並びに外側のボルト止めできる適切な場所は、ボルトヘッドが干渉するので、写真のように干渉部分を削り取りました。

掲載の写真は、表記寸法よりも前後長が50mm短いものです。理由は、ライト取付金具を既存の位置から後に移動させてしまったからです。
しかしその状態だと固定強度が不足してしまうため、写真のように前側の金具固定部分からボルトを出して、後側に固定した金具とL型金具を使ってジョイントしなければなりませんでした。
取付金具だけを取寄せて本来の形に戻した上、再度取り付けを行うつもりです。

プレートの装着ができたら、ハウジングを車体に戻し、固定します。 但しホィールハウス上の上側2個のナットは未だ締めません。

ヘッドライト前面カバーの装着状態を見ながら、ライトの取付位置をマーキングし、取付プレートに穴(10mm)を空け、ライトを取り付けます。
基本的には、プレートの前端ギリギリがボルト位置になります。又、外側は、内側よりも10mmくらい後方になります。

上下左右の調整が後からできるように、各調整用稼動部分のネジは、現段階では、強く最後まで締めないでおきます。

未だ締めていないライトハウジング固定用ボルトにワッシャーを入れて(3枚)高さを調整し、イグナイターを固定したフレームバーを取り付け、ナットを締めて固定します。
この段階で、マニュアル動作ノブでヘッドライトの開閉を行い、ケーブル類や機器類の干渉が無いことを確認します。

外してあったヘッドライト用コネクターを接続します。未使用のバルブ用コネクターは絶縁、防水処理を行います
ライト点灯用電源(+)はコルゲートチューブを被せ、ライトの開閉動作によって動いたり干渉したりしない場所(つまり純正のライト用コネクターが通されているルート)を通し、動かないようにしっかりと固定します。
点灯用電源並びにアースを接続し、イグナイターとインバーターを接続して終了です。

D動作テスト  Test
マニュアル動作ノブでヘッドライトドアを閉め、点灯及びリトラクト動作テストを行います。
注意:感電する恐れがあるので、点灯中はイグナイターやインバーターの配線類に手を触れないこと。


EUS仕様ヘッドライトレンズの装着
RAYBRIGとの組み合わせは、USヘッドライトがクリアーレンズ&マルチリフレクターではなかったために中止しました。
その代わり、単体でHIDバルブとの組み合わせを実施しています⇒USヘッドライト装着日誌


F光軸調整  Check light angle
作業前に調べた照射位置を参考に光軸調整を必ず行います。 マルチリフレクター式のため、配光区分がはっきりしている分、不必要な配光を行うと対抗車への幻惑となるので、慎重に行います。
角度調整は感電を避けるため、ライト本体の前側レンズ面周辺のみに触れて行うこと。
ともかくHIDは強烈に明るいので、万が一でも幻惑を与えるようなことがあれば、事故にもつながり兼ねないので、十分な配慮をしなければなりません。
いくら明るいからと言って、遠距離広範囲への照射は、そのまま周囲の迷惑につながることを忘れずに。
設定が完了したら、ライト固定フランジの各可動部分のボルト類を増し締めします。
注意:感電する恐れがあるので、点灯中はイグナイターやインバーターの配線類に手を触れないこと。

G装着
取り外した部品を元通りに取り付けます。
ヘッドライトカバーの取り付け固定に際しては、外したときのマーキングを頼りに、前後左右の位置関係を調整しながら行います。
位置がずれると、ヘッドライト動作時にボディと干渉したり、格納時にフラットにならなかったりしてしまう場合があります。又、ヘッドライトカバー固定ネジについても同じです。

取付の際にも、HIDの高圧配線類には十分注意します。
 

ヘッドライト装着スペースにかなり広い範囲で隙間ができたので、US使用ヘッドライトレンズが到着するまでの間は、雨水避けにもなる(ライト本体については防水処理がされている)ので、ABS樹脂製のプレートを取り付けてみました。
これなら耐熱性も問題は無さそうですが、アルミのように、曲げたらそのままの形状を維持するものではないため、ヘッドライト前面カバーの曲面に合わせて接着することができません。そこで、樹脂プレートをL字型に曲げたものを両サイドに接着し、前面プレートにプラスチックネジで止めました。又、ついでだったので、ライト用の穴を抜いて余った樹脂板を利用して光軸調整用キャップをつくり、プラスチックネジで止めました。
写真に見える上部のアルミテープによるマスキングは、照射・配光についての意味は持ちませんが、配光の上限カットを、見た目にも直線できっちり行いたかったために着けたものです。


<使用レポート>
 
左から右に向かって少しずつ撮影場所の高さを変えています。写真中央の照射中心部からの撮影では、H4・HIDも配光が来ているのが分かりますが、それより手前側の照射となる、左と遠方側の右については、RAYBRIGの配光はありますが、H4は十分な配光がされていないのが分かります。
対向車へ幻惑を与える可能性が高い角度からの撮影です。左はシェード無し、右はシェード付。シェードの効果で幻惑感を与えることが無くっています。

これはもう十分なもの(現在未だ運転席側しか装着されていませんが、助手席側のヘッドライトが本当に点灯しているのかどうか疑いたくなるほど明るい)です。前後方向の配光さえもう少し広範囲になっていれば、1灯ずつでもいけそうなくらいです。早い話が、純正ハウジングにおいては中央部分にだけスポット状の明るい部分が出来ていたのが、全体がその明るさになってしまったという感じです。
純正ライトハウジングのH4・HID装着状態と直接比較すると、配光が均等で、尚且つエリアが格段に向上したことが何よりも嬉しいことです。
特に、左路肩部分への照射が不足ぎみでしたが、それも一挙に解消しました(コーナリングライトの必要性もありません)。
上方向のカットについても、見た目には若干あまい部分があるものの、実際にはマルチリフレクターの効果で、しっかりと配光エリアが制御されており、エリア外に光が漏れて幻惑を与えるようなものではありません。

しかし、配光エリア内で光源を直視すると、幻惑感がしばらく続き、HIDの光量の凄まじさを思い知ります。
くれぐれも、他車への幻惑についての配慮を忘れずにしなければなりません。そのためには、坂道での停車時などで対向車が配光エリア内に入り、光源を直視する状況では、積極的にヘッドライトを消灯してあげるのがマナーになります。
パッシングのように短時間内の頻繁なON/OFFをしない限り、点灯消灯動作そのものでHIDに支障を来すことはありませんし、消灯後の再点灯時には若干青く暗くなりますが、それでも必要にして十分な光量を得られるので、心配はありません。

ましてやRAYBRIG製も、スイッチONから点灯、さらに光源の安定までに必要な時間は、わずかに1秒足らずです。