<B&M ニューボルト点火装置装着>
 Installation of B&M New Volt Ignition System with NGK TR55 Plugs
 

[効果:体感できるほどのものは無いが、プラグを見ると綺麗に焼けている。始動性が向上し、アイドリングが安定する。]

"NEW VOLT(ニューボルト)"と言う強力点火装置を装着しました。
本品は、点火用のDC12V電源と点火コイルの一次側入力の間に挿入し、入力された電源パルスを10万分の1秒単位で検知して電流を増幅する新しいコンセプトの点火装置です。
C5の場合、8気筒が7000rpmで稼動しても、1秒間に行われる点火は僅か633回程度なので、全く問題はありません。
電流は最大45倍に増幅され、最大出力は20V/20Aに及びます。
高い電力量による点火は、膨大なエネルギーを発生して良好な着火を実現し、特に中低速域のトルク増大と燃費向上に効果があります。
しかし、その反面プラグが酷使されるため、プラグの通常寿命は30〜40%程度低減するとのことです。
使用するプラグは、平面電極を持ったものかイリジウムが適応しますが、プラチナは適応しません。

Install B&M NEW VOLT ignition System.


【注意】
本品は99年モデルに装着したもので、97〜98年及び2000年以降モデルと詳細で違う場合があります。

 

1.接続方法

C5のダイレクトイグニッションシステムは8個のコイルが使用されていますが、片バンク4個ずつ2つの回路に分かれて、それぞれ1822(15A)フューズを介して点火用電源が供給されています。
それぞれのフューズから各コイルへ行く配線の分岐直前の部分にNew Voltを接続します。
最大消費電流は20Aに及ぶので、アースはバッテリーのマイナスに接続したほうが無難です。
また大電力が流れるので、配線はPCMへ行くセンサー類の配線と近接並行通線は避けた方が懸命でしょう。勿論、本体をPCMや他の制御コンピューターに近接設置することも避けなければなりません。
左図をクリックすると大きい画面が見れます。

Connect between input voltage for ignition from No.18/22 fuse and ignition coil.
本体から出ているループ状の青色線@は出力電圧モード切換用で、結線状態で20V、切断すると18V設定になります。不必要に高い電圧での稼動はコイルやプラグへの負荷を増大させてしまう恐れがあるので、今回はメーカー推奨である18Vに設定しました。切断個所はしっかり絶縁します。
また、同じく茶色線A切断するとNew Voltはバイパスされ機能を停止します。
万一の事態を考え、本配線の途中にON/OFFスイッチを入れることにしました。この端子が万一アースとショートすると本体が破損してしまうので作業時は十分注意が必要です。

Cut Blue wire for 18 voltage mode. Cut Brown wire stop function.
本体(写真中央の青色)の設置は、配線の容易性からPOMECバッテリーの上にしました。
後方下にはPCMが鎮座していますが、直線距離で30cm以上離れているので、影響を及ぼすことは無いでしょう。
この場所は排熱対策用に隔壁を撤去してありましたが、NEW VOLTへの熱ダメージ回避のため元に戻しました。またウォッシャータンクは、より小型のもの(1L/写真左)に交換しました。
作業中は本体と配線の間のコネクターを抜いておくこと
本体は完全密封処理されているので防水性です。

I installed on Pomec(light and small battery). Before start installation, disconnect connector of New Volt.
点火コイルユニットへ接続されているコネクターのピンク色の線(向かって右上)を途中で切断し、New Voltの配線を割り込ませて接続します。
New Voltの入力側(赤色)をヒューズから来ている線(つまり結線束側)に、出力側(オレンジ色)をコイルへ行く線(つまりコネクター側)に、New Voltに付属している配線用ケーブルを途中で二股に分岐して左右両バンクに接続します

Cut Pink wire of connector to ignition coils.
接続は圧着端子やギボシ端子を使って確実に行い、抜けないようにしっかり固定します。

Connect Red line from New Volt to ignition coils side(Connector side) and Orange line from Fuse.
配線にはコルゲートチューブを被せる等して、十分な耐水耐熱絶縁対策を行います。

Wrap anti-heat tube and tapes for water proof around lines.
New Voltのアース線は消費電力が最大20A程度になるので、確実に行う必要があります。
周辺のシャーシ等に落として接触不良を起してしまうのを懸念し、今回はバッテリーのマイナスに接続しました。バッテリーへの接続は解説書でも推奨していました。

Connect Ground line of New Volt to Battery negative direct.

配線処理が終わったら、本体と配線のコネクターを接続します。
IGN ONにして、New Volt 本体の配線が出ている側に着いている動作確認用LEDライトが点灯することを確認します。点灯しない場合は、配線に問題があるので点検します。スターターを回してエンジンが始動すれば完了です。
製品に添付されていた解説書によれば、使用するプラグはプラチナやイリジウムのように電極が細いものよりも、太いものの方が適しており、またギャップについても1.5〜1.8mmあるのが望ましいとのことです。

Check all wiring correct, then connect New Volt connector.
Ign On and check LED lamp at side of New Volt turns on then Start Engine.
New Volt recommends to use NGK TR55 plug with 1.5 to 1.7mm gap.


2.NGK TR55プラグの装着 Install NGK TR55 Plugs

新しい点火装置装着に合わせて、今評判のNGKイリジウムプラグ(C5へ装着できる型番はTR55IX)を装着するつもりでしたが、New Volt の解説書で中心電極の太いタイプを推奨していたため、急遽留保しました。プラグ交換作業の詳細はこちらを参照

New Volt recommend to use not platinum and iridium type.
アメリカのチューナーの間で最近良く見掛けるのが、現在純正指定プラグとなっているプラチナ(右側)及びイリジウムから、わざわざ銅電極のNGK TR55(左側)に交換していることです。
またチューニングパーツ販売店でも TR55 と共に TR5TR6(コールドタイプ)が売られています。
TR55
はイリジウムの TR55IX とは違うもので、写真で判るように中心電極が太く、設定ギャップも1.3mmとワイドです。詳しいスペック情報が無いので良く判らないのですが、どうやら高性能点火装置との組み合わせに適しているもののように思えます。これは国内手配が可能であったので、後日装着テストを行ってみます。

There is NGK TR55 V-power plug.

TR55が到着したので早速装着してみました。
TR55はV-POWERと呼ばれ中心電極がV字型にカットされています。
日本で製造されていますが、アメリカでしか販売されていないらしく、国内で入手するためには逆輸入するしか方法論が無いようです。
今回の入手価格は1本\590.でしたが、アメリカではUS$2.(\240.)程度で、イリジウムやプラチナに比べれば半額以下です。
写真のプラグに着いている首振り機能があるソケット(16mm)はプラグ交換専用で、C5のように狭い限られた空間しか無い場所での作業には必需品ですね。
ついでだったので、手元に余っていた遮熱シートをハイテンションコードに被せてみました。
MSDのコードのブーツ部分は厚いシリコンゴムで覆われているので大丈夫かもしれませんが、コードの部分は温度が上がると抵抗値が増して点火電圧が低下します。そしてこれは高性能コードであっても同じですから効果はあるでしょう。シートを適当な大きさに切って巻き付けホッチキスで止めただけです。但しホッチキスやアルミ箔外皮との間でリークを起こしてしまう可能性があるので、もしリークするようであれば即座に使用を中止します。

It is good to keep ignition wire be cool to decrease resistor therefore wrap anti-heat seat around ignition wires.
同じ機能を持つ市販品で耐熱性ガラス繊維で出来ているもの(左側)ならば、リークの心配はありませんが、遮熱面での性能は低下します。そのためか今回使用した遮熱シートと同じ材質のタイプ(右側)もありました。

You can buy the same thing called Koolsock or something like this in the market.

<使用レポート>

まずは装着してあるスプリットファイアープラチナ3プラグでテスト走行を行いました。ギャップは1.5mmですが、電極は0.8mmです。
製品に付属していた解説書によると、プラグは、プラチナやイリジウムのように電極が細いものよりも太いものの方が効果が高く、さらにギャップは1.77mmを推奨していたので適していないかもしれません。

まずエンジンの音が変わりました。そして低中速域のトルクが増し、アクセルを軽く踏んでいるだけでグイグイと加速して行きます。低速度でODに入ってもアクセルをあおること無く難なく加速します。
B&B PRTマフラーを装着している方なら判ると思いますが、高いギアの低回転域でアクセルを少しだけ踏み込んで加速をすると、コモリ音が響き渡ってなかなか加速してくれないため、ついシフトダウンをしたくなるのですが、この音の度合いが軽減しました。つまり、コモリ音が響く絶対時間が短くなり、低回転域でも実用的な加速力が得られるようになったと言うことです。
約4時間、都内の頻繁なSTOP&GOが続いた100km程の走行後にプラグを見ると、カーボンの付着はゼロで、見事なまでに綺麗に焼けていました。これは明らかに強力な点火により完全燃焼が実現していることの証です。

20Vモードを使用すると、さらに着火力が増し、プラグは逆に焼け過ぎの状態になっていたので、加給機やニトロ、高圧縮比エンジン等で熱価の高いプラグを使用していない限りは、18Vモードで十分ではないかと思われます。たった2Vの違いですが、点火コイルは入力された電圧を何千倍にも昇圧するもので、発生電圧は数千ボルト単位で変わってくるので、かなりの差異が出ても不思議ではありません。例えば入力電圧が10Vで10,000ボルトを発生させるコイルであれば、2Vの違いは2000Vの違いになります。
メーカーのデータによると、入力電圧が9V〜14Vの範囲で変動しても常に18V(20V)の電圧が出力されるので、点火状況がエンジン回転数や電流負荷に影響されること無く、常に安定した状態を維持することが出来ることになります。
実際のところ、パワーアップアイテムと言う類のものでは無さそうですが、強力な点火による完全燃焼促進は燃費を改善させることは確かで、DICによると平日昼間の都内走行アベレージで20.9L/100kmを記録しました。→TR55 プラグとの組み合わせ結果

反面、心配点もあります。まずは消費電力です。これまでLED化や低消費電力の電動ファンを装着して低電力化を進めて来ましたが、New Volt を装着すると、それまでよりも0.5V前後電圧が下がりました。エアコンON、ヘッドライト点灯、電動ファン稼動の状態では、13.2Vにまで低下します。基本的には問題の無い範囲ですが、それだけ電力供給量が大きく増加しているのは間違いありません。
もう一つは点火コイルへの負荷です。
純正では点火コイルへの供給電圧がせいぜい14.8V止まりであり、電力量も0.5W程度ですが、それが最大18V(20V)、2Aにも及ぶので、過大負荷により耐久性面での問題が発生する可能性があるのではないかと言う点です。これについては点火コイルの詳細データが無いので長期検証を行うしか方法論は無いのですが、MSD等から発売されている競技用高性能点火コイルのスペックによると、入力電圧についてはともかくとしても電流値については純正互換用で0.3A、競技用でも1.1A止まりであったので、最大2Aの電流が流れる可能性があるNEW VOLTの出力を受けるには頼りないものになってしまいます。
しかし、NEW VOLTはあくまでも入力された電流を増幅するので、実際に2Aもの電流が出力されることは考え難いだろうと思っています。

Very strong ignition increased big torque at low round and lean burn.
I'm worry about any damage of ignition coils.

点火コイルの一次側が過大電流により万一溶断してしまうようなことになると、勿論、その瞬間以降エンジン稼動継続は不可能になってしまうので、当面は点火コイルの発熱状況を随時検証して行くことにします。尚、コイルの冷却を促進させるために単なる飾りでしかないヘッドカバーは外しておくことにしました。
このことについて心痛するのであれば、ON/OFFスイッチ機能を利用して、平素はOFFにしておけば良いでしょう。

I removed Fuel Rail Cover to be cool ignition coils.
また万一の事態を考慮して純正の点火コイルを補修パーツとして購入しました。
アメリカからの輸入品ですが、製造元は我がDENSO(日本電装)社でした。

And buy ignition coils as spare.


逆輸入品となる日本製NGK TR55 プラグが到着したので、ギャップを1.5mmに設定して装着しました。
プラチナタイプと比べて明確に体感できるパワーアップこそありませんでしたが、強力な点火による燃焼は燃費にはっきりと表れました。
通常、これまで都内走行で 20km/100L 以上のアベレージを出すことはありませんでしたが、TR55との組み合わせにより、 14.5km/100L をマークしました。
強力な点火は希薄燃焼時にも強いパワーを発揮させることが適うので、深くスロットルを踏んだ時の濃厚燃焼モードにおける差異を体感するのは難しいかもしれません。それでも空燃比を決定する基本データは排気ガス中の酸素濃度なので、強力な点火で完全燃焼が適えば、同じ出力を得るために必要な燃料噴射量は低減されることになります。
直接的なパワーアップにつなげるためには、強力な点火能力に合わせて点火時期を含めた燃調を行う必要があるのかもしれません。

2004年8月16日
スーパーチャージャー装着に伴い、TR55より熱価が3番高い、DENSO IT24プラグに交換しました。
当初、熱価が一番高いTR-6を使用していましたが、たった一度のサーキット走行で直ぐに駄目になりました。

始動時は勿論のこと、頻繁な加給走行を行わない一般道走行においても、失火することはありません。
また、サーキット走行においても、良い具合に焼けており、耐久性も全く問題ありませんでした。

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