<エンジンオイル交換について>

オイルはエンジンの命を掌る血液と同じようなものなので、汚れたらDICのオイルライフ表示が0%になっていなくても直ぐに交換することが望ましい。
DICの表示はあくまでもエンジンのランニングタイムを基準に算出しているだけなので、高回転を連続して使用したり、高温下での使用が続いたりした場合には通常よりも早い時期にオイルの寿命が到来するので、実際に目で見て手で触ってオイルの状態を点検することが肝要です。


必要工具:15mmソケット(多角保持型)、トルクレンチ(25〜30Nm))+エクステンション(10cm)、フィルターレンチ(ヘッドホールドタイプ/74mm・2-29/32"-15角)、廃油処理箱、オイルサーバーポット、ジャッキ、リジットラック

オイルは「Mobil 1]が基準なので、同等グレードの100%化学合成オイルを使用すること。
過去一般的に良く言われていたこととして高級オイルを長期間使用するよりも安価な低グレードのオイルをこまめに交換したほうがエンジンにとって良いということはLS-1エンジンには適用されないので、使用するオイルのグレードには留意が必要。

私のお薦めはこちらの"Mobil 1 RF(ラリーフォーミュラー)"。
4L缶で7〜8,000円と少々高価ですが、サーキット走行においても十分な性能を発揮します。

フィルターはPF44・PF46(ニュータイプ)または互換品。
オイル交換だけなら6リットル、フィルター交換の場合は6.5リットル程度を準備します。
また廃油処理を確実に行うために専用処理箱の8リットル用を用意します。
いくら高回転型エンジンでは無いと言っても、6200rpmまで回る5700ccの排気量があるエンジンに僅か6.5リットルのオイルしか使っていないのですから、グレードと品質にはかなりこだわっても決して損はしません。又、フィルターはオイル交換毎に交換することを薦めます。
ドレンボルトはゴム製Oリングを使用しているので、3回以上の脱着時に新しいものへ交換して下さい。


@ジャッキアップについて


 

ジャッキポイントは上左図のボディ両側の楕円形にへこんでいる4点(上右図青色枠線内部分)。
ジャッキが高くて入らない場合にはタイヤを木片等に乗り上げて隙間を確保します(勿論、ジャッキアップした段階で取り除くこと)。
1〜2cm程度足りないならボディを手で持ち上げると入れられます。
ジャッキポイントにはジャッキポット又はそれに相当するものを装着してボディへのダメージを回避させます。
ジャッキアップしたら必ずリジットラックで支えておくこと。支えるポイントは緑枠線内部分)。
たとえ短時間でもジャッキを信じきって下にもぐり込むのは危険です。
ジャッキが突然壊れたり、車体から外れてしまったりする可能性はいくらでもあります。

Aオイルの交換

オイルパンドレンボルトは15mm。ボルトの角を駄目にしない為にも良質の多角保持型ソケットを使用します。

オイルの排出ルートを予測した位置にオイル処理用箱を置き、ボルトを緩め、オイル受け箱が正しい位置にあることを確認してから、ボルトを抜いてオイルを排出します。
ジャッキアップが片側だけの場合には、オイルの排出が始まったら一旦ジャッキダウンして車を水平位置に戻します。
作業の直前までエンジンが稼動していた場合には、完全に排出されるまで20分程度が必要。又、オイルが熱いので傷に注意。
排出が完了したら再びジャッキアップし、ドレンボルトを締め、ジャッキダウンします。
ドレンボルトの締め付けトルクは25Nm

新しいオイルは、エンジンルーム内のオイル流入口のキャップを外し、オイルサーバーポットにより注入します。
注入中にオイルに異物が混じってエンジン内に入っていかないように注意して下さい。
6リッターを注入した段階でオイルゲージで量を確認し、不足していれば足して行きます。
入れ過ぎは百害有って一利無し。少し余ったからといって入れ過ぎは禁物です。

サービスマニュアルによると、金属ガスケットを使用せずにゴム製Oリングを使用するオイルパンボルトは、3回の脱着で新しいものに交換することを明示しています。

走行距離が多い場合やサーキット走行を行ったりしてオイル交換の頻度が高く、ドレンボルトやOリングの入手や交換が面倒な場合は、こちらの麓技研オイルドレンバルブをお薦めします。
適合製品型番は、F-107 になります。
ドレンボルトを外す場合に比べて排出時間が若干長くなりますが、コックを回すだけでオイルの排出ができます。
バルブの強度や耐久性についての問題は無く、信頼できる製品です。

<オイルフィルター交換について>

オイルフィルターは狭い隙間に装着されているので、一般的なフィルターの周囲に巻き付けたり噛ませたりするタイプでは駄目で、フィルターのヘッドに被せるタイプ(HC-74:74mm・2-29/32"-15角)のフィルターレンチが必要です。
複数のフィルター径に対応する可変式タイプもあります。
ソケットレンチの取り付けサイズ(1/2又は3/8)に注意して下さい。

フィルターレンチを被せフィルターを反時計方向に回し、一旦緩んだら、あとは手で緩めて取ります。
緩めている段階で内部のオイルが漏れ出すので、エンジンオイル排出時に使用した廃油処理箱を下に置きます。
当然のことながら、オイル交換時に古いオイルを全部抜き去った段階で本作業を実施して下さい。

取り外した使用済みのフィルターの内部に残留するオイルを廃油処理箱に空け、カラにしてから不燃ゴミとして出します。

新しいフィルターのゴムOリングパッキンに新しいエンジンオイルを薄く塗ってから、最初は手で締め付けを行います。
ネジ山に正しく入って行くことを確認して下さい。
オイルフィルターの締め付けトルクは30Nmになっていますが、フィルターのガスケットが接してから3/4〜1回転すればOKです。締め過ぎるとガスケットがつぶれてオイル漏れを起こしてしまう場合があります。
フィルターを交換した場合には、新しいオイルは6.5リットル程度必要になります。

俗にオイル交換2回に一回のフィルター交換と言われていますが、PF44(46)オイルフィルターは容量が小さいことと、オイルに比べればたいして高価なものではない(平均\700〜900.程度)ので、オイル交換の都度毎回フィルターの同時交換を薦めます。


<交換終了後の作業について>

交換が終わったらエンジンを始動し、しばらくしてからドレンボルトやフィルター周辺からのオイル漏れが無いことを確認します。
又、走行後に再度オイルゲージによりオイル量が適量であることを確認して下さい。


<ディファレンシャルオイル交換について>

エンジンオイル同様に定期的な交換が必要なデフオイル。ATFやブレーキフルードと違い、簡単に交換できます。
尚、使用するオイルは必ずリミテッドスリップデフ専用を使用して下さい。

リミテッドスリップデフの作動音を軽減し、高負荷・高温に対応する高性能品が販売されています。
これは、RED LINE 80W140で、1USクオート(1リットル弱)ボトル品。
→RED LINE 75W140NS

エンジンオイルと同様に廃油箱を用意します。排出量は約1.7リットル程あります。
ディファレンシャルギアボックス下部のドレンボルト(HEX)を外してオイルを抜きます。
オイルを抜き終わったらドレンボルトを締めます。締め付けトルクは35Nm
後方にあるボルト(HEX)を外して新しいオイルを注入します。
規定レベルはボルト穴下部ギリギリのところなので、注入時は水平な場所で行って下さい。
注入量は1.7リットルです。下限は注入口穴より6mm下までです。
注入が終わったらボルトを締めます。締め付けトルクは35Nm
注入を行うにはこのようなポンプがあると便利です。
自動車工具店で、6,000円程度で手に入ります。

さらに耐熱性の優れたLSD専用の75W140NSに交換しました。
80W140に比べてLSDの動作音を軽減させる能力はありません(むしろ増大します)が、競技向けには最も適しているものです。
価格は同じなので、どちらを選ぶかはユーザーの目的次第となります。

70W140NSが、あまりに大きな動作音を出すばかりか、粘度が高過ぎる所為か、動作音としては少々変な感じの異音まで出るようになってしまったため、新製品の80W140に交換しました。
確かに動作が若干甘くなるようですが、動作音が減り、異音も解消しました。

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