BILLION スーパーブレーキフルード交換 2002年3月24日/2004年6月26日再交換
Change Brake Fluid to BILLION's Super Brake Fluid 

[効果:サーキット走行には必需品。一般道走行においてもフィーリング向上に効果有り。]

本品は国産品で、ドライ沸点が330℃(626F°)、ウェットは1%時で283℃(541F°)、3.5%で180℃(356F°)の優れものです。またウェットによる沸点低下の度合いも他に比べて非常に緩やかです。
但し、使用温度は-10℃までなので、寒冷地に在住の方は使用できない場合があります。
成分はシリコン系では無くグリコール系なので、使用中のDOT3〜4のフルード(但し鉱物油系を除く)と混合されても分離等の化学反応は起こりません。

青色に着色されているので、フルード交換を行った時の新旧判断がし易いですね。

Change Brake Fluid to BILLION's Super Brake Fluid. Dry boiling point is 626F, Wet is 541F(1%) to 356F(3.5%).

メーカーの説明によれば、日常の使用下における水分混入率は現代の優れた素材により製造されたブレーキシステムにおいて最大でも1%程度である調査結果が出ているので、実用面での問題発生は無いとのことです。
また一般車両のブレーキシステムへの利用に際しての配慮が為されており、寿命も長いようです。従ってサーキット走行と一般走行の両者に適合するとのことでした。

Wet into brake fluid under normal condition, only 1% is maximum by recent brake system. Therefore this fluid developed the best performance under 1% wet boiling point. And it's so useful for street and race both, no damage to brake system.


【警告】
本品は99年モデルに装着したものですので、97〜98年及び2000年以降モデルと詳細で違う場合があります。
ブレーキ関連部分は安全保安基準対象部分なので、専門知識が無い人、工具がそろっていない場合には絶対に行わないで下さい。


【注意】
ブレーキフルードは水分混入により沸点が直ぐに低下してしまうので、晴天の湿度が少ない日に作業を行うこと。
せっかくの高性能が僅かな水分(湿気)で簡単に能力低下してしまう。
フルードは塗装面に重大なダメージを与えてしまうので、作業中は周囲を十分防護すること。
本品はグリコール系なので、シリコン系、鉱物油系のフルードとの混合は不可。

<Caution>
It is necessary to work only under fine day, never wet condition.
Brake Fluid makes big damage to paint.
Never mixed with silicone fluid.


フルード交換を行う場合には、エア抜き用器具があったほうが圧倒的に便利です。
今回は、ワンウェイバルブのついたフルード排出器と、弁のついた自動供給器の二つ、用意しました。どちらも自動車用品店で1万円程度で購入できるものです。両者共に業務用規格品。
以下、本器具があることを前提に作業を行っていきます。

It is very useful to use Air Bleeding tool with one way bulb and automatic fluid supplier.

1.フルードの抜き取り Remove old fluid

フルードのリザーバータンクから、大型のスポイト(灯油等の給油吸出し用等)でフルードを吸い出します。
吸い出す量はなるべく多いほうが良いですが、マスターシリンダーへの流入口が表面(空気中)に出る直前で必ず止めます
万一、流出口が露出してしまうと、そこからエアが混入してしまう可能性があり、そうなるとマスターシリンダーのエア抜き作業をしなければなりません。

Remove Fluid from reservoir tank and stop before figure up inlet of master cylinder.

2.エア抜き作業 Air Bleeding

作業の順番は、マスターシリンダーからキャリパーまでの配管距離の関係から、右後⇒左後⇒右前⇒左前で行ないます。

リザーバータンクに新しいフルードを規定レベルまで入れます。また、フルード供給器にも新しいフルードを入れ、リザーバータンクに固定します。
フルード供給器が無い場合は、空気の混入を防ぐためフルードの注入は静かに行うこと。

Supply New Fluid into reservoir tank and Fluid supplier.
Set supplier on tank and open bulb.
タイヤを外し、ホィールナットでローターを2〜3ヶ所固定します。
ALCON製キャリパーは水平対向ピストンのため、エア抜きバルブはキャリパー両側に有ります。
作業はまず外側から行います。

There are two bleeding bulbs on BAER caliper therefore it is necessary to do air bleeding both sides. Start from outside.
エア抜きバルブのゴムキャップを取り、ソケットレンチ(11mmディープ)増し締め分だけを緩めたら、メガネレンチ(11mm)を掛けて、一旦軽く締めます
エア抜き用器具ホース先端のブリーダーソケット固定クリップをずらして、エア抜きバルブに奥までしっかり装着したら、再度クリップを元の位置に戻して固定します。
排出ホースの重みで装着部分が抜けかかったりずれてペダルを戻した時にエアをそこから吸わないようホースのルートを設定して動かないようにします。

Set Air bleeder socket to bleeding bulb and fix by clip.
メガネレンチでバルブを45度程度緩め、ブレーキペダルを踏んでフルードを排出します。ブレーキペダルを踏み込んだ時にやや負荷を感じる程度が適切です。軽く踏み込め過ぎる場合はバルブの緩め過ぎ、また、ペダルを踏み込んでも途中で強い負荷がかかって床一杯まで踏み込めない場合は、バルブの緩め方が足りません

Screw bleeding bulb to 45 digress to open and foot brake pedal. Foot quick and return slowly. Check air inside of hose before one way bulb and after no air.
screw bleeding bulb to close.

ベダル操作は、踏み込みも戻しもゆっくりが基本です。ペダルを早く戻してしまうと、いくらワンウェイバルブが着いていてもエア抜きバルブからエアを吸ってしまう場合があります。新しいフルードが排出され、気泡が混じることなくワンウェイバルブまで到達したら、装着しているメガネレンチでエア抜きバルブを締め(軽く締まれば良い。過大トルクで締めない)、ブリーダーソケットを外します。そして一旦バルブを規定トルク(12Nm)で締めます。
最初はリザーバータンクやマスターシリンダーに未だ古いフルードが残存しているため、ペダルの踏み込み操作は5〜6回程度必要です。
新しいフルードの排出が始まってから(青色なので判別が容易)、さらに2〜3回ペダルを踏み、混合している部分も排出します。
これで、作業したキャリパーまでのフルードパイプ内は、ほぼ全部が新しいフルードに交換されました。

続いて内側を同様の工程で行います。外側が終わっているので、こちらはせいぜい2回程度踏めば新しいフルードになりました。
さらにエア混入が無いことを確認するため、再度外側の排出を1〜2回行い、同様に内側も行います。最後に、ブリーダーバルブが規定トルクで締まっていることを確認し、
バルブ周辺に付着したフルードをしっかり拭き取ったら、ブレーキクリーナーでローター、パッドを含めてクリーニングします。

The same work for inside. The same work for outside and inside again. After finished, bleeding bulb tighten to 12Nm.
Clean up rotor, pads and caliper by Brake Cleaner.

本作業を4輪全て行います。
ブレーキペダルを奥まで一杯に踏み込み、パッドをローターに圧着します。続けてペダルを何度か踏み、通常のストローク内で負荷がかかってペダルの踏み込みが止まることを確認します。
ストロークが増えたり、止まる際の負荷がスポンジーである場合には、エア混入が考えられるので、再度エア抜きを行います
各キャリパー、ブレーキホース、ブレーキパイプの接続部分から、フルード漏れが無いことも確認します。
最後に、リザーバータンクのフルードレベルが規定量であることを確認します。不足していれば補充します。

The same work for all calipers.
Start engine and foot brake pedal once. Check never spongy and no fluid flow from hose, caliper and bleeding bulbs.
Foot brake pedal a few times and check no fluid flow out from caliper and hose. Check fluid level of reservoir tank.


3.使用レポート

本来の効果を試すためにはサーキット走行を行うのが最も簡単な方法ですが、これについては実際に行った時に報告します。
そこで、ここでは沸点の高いフルードが一般走行には向かないと言われている点について報告を行います。
それまで使用していたDOT4グレード品と比べて特に変わった印象はありませんでした。つまり、一般走行においても全く問題が無いということです。
この状況のまま、サーキット走行においてもベーパーロックせずに走りきることが出来れば、本品は真の意味でスーパーフルードと言えることになります。
その期待を大きく持たせてもらえたのは、山道をハイペース走行をすると、以前はほぼ最終地点辺りでブレーキペダルのストロークが増えて、フルードが柔らかくなったような印象を受けていたのが、無かったからでした。
ブレーキを酷使すればそれだけ発熱が多くなり、フルードへの影響も大きくなります。サーキット走行ではそれが極限状態になるが故に、高沸点のフルードが求められます。山道の下りで、わざとエンジンブレーキを使わずに長い時間ブレーキだけで減速をし続けると、ブレーキの発熱は、サーキット走行には及ばないものの、同様の酷使を受けることになりますが、それに十分耐えてくれました。


数回に及ぶサーキット走行においても、ベーパーロックすることなく最良の結果を出してくれました。
沸点の高さは素晴らしいものが有り、ペダルフィーリングも良好でした。

長期間の使用により水分混入が起こりますから、初期の性能を維持させるためにも、年に1回程度の交換を行うと万全です。

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