<ベンツ用シフトアッセンブリーの装着>    Installation of M.Benz shift assembly

2007年1月14日

シフトレバーを改造してみました。
理由はシフトセレクトミスを防止するためです。
サーキット走行中は、2⇔3⇔4速を頻繁にマニュアルシフトする必要がありますが、C5のシフトレバーはストレート移動方式なので、何かの拍子に1速に入ってしまったり、Nに入ってしまう危険性が多分にあります。現に過去数回程の苦い経験がありました(笑)。
そこで、ベンツが採用してからすっかり流行りになったゲートが切ってある方式を採用することにしました。
ゲートが切ってありますから、シフトレバーを横方向に移動させない限り前後は2⇔3⇔4速の間の移動だけとなって、1速やNに入ってしまうことはありません。
慣れるまでD⇔N⇔Rのシフトチェンジに若干の違和感がありましたが、全般的には極めて良好です。

使った部品はベンツW210用で、C5と同じ7ポジションになっているものです。
本来は5速用なのでD⇔4速の横移動によるシフトチェンジがありますが、これは機能しません。勿論、WとSの切替スイッチはダミーとなります。

本改造を行うと純正状態に戻すことはできません。

センターコンソールを外します。運転席側シートを外した方が作業が楽になります。
キーロックワイヤーを外し、シフトアッセンブリー固定ナットを外したら、シフトを1速の位置にしてアッセンブリーを持ち上げてリンケージワイヤーを外します。
リンケージワイヤーはシフトレバーに押し込まれているだけなのでドライバー等でこじれば直ぐに取れますが、シフトアッセンブリーは数センチくらいしか持ち上げることができないため大変狭い空間での作業となり、さらに上方向に負荷を掛け過ぎるとプラスチック製のリンケージワイヤーサポート部分が破損してしまうので十分な注意が必要です。
サポート部分が破損してしまうと押し込み方向の移動(シフトレバーの動きとしては前方向)ができなくなって機能が停止します。
また、リンケージワイヤーアッセンブリーを全部交換することになりますので、作業も大変になります。
車内に削りカスが飛び散って汚れてしまいますが、リンケージワイヤーを外さずにシフトアッセンブリーがオンカー状態でも作業を行うことが物理的に十分可能ですので、そちらを薦めます。

→ リンケージワイヤーサポート部分が折れてしまったら・・・

  
C5シフトアッセンブリーから、シフトロック機構とソレノイド、シフトロックガイド及びガイドプレートを全て取り外します。
シフトロックガイドは本体と一体成型されているので切り取ります。
シフトレバーのシフトポジションガイドピンを押し下げて下限の位置にして、ピン上端から25mmの位置(上端からは約110mm)でシフトレバーシャフトを切断します。
ガイドピンは下げずに一緒に切断します。
そして、シャフト切断面から10mm下中央の前後方向にM6ボルト用の貫通穴を空けます。
穴を空ける際はガイドピンを下げて行います。
ベンツ用シフトアッセンブリーを解体し、ゲートハウジング部分を取り出します。
ゲートカバーを外したら、上面から45mmのところでハウジング下部を切断します。
ベンツ用シフトレバーを外したら、シャフト部分の上端から125mmのところで切断します。
下部の稼働部分は使いません。
そして、切断面にM8のネジ山を切ります。
また、コの字型金具の中央部にはM8のネジ穴を切ります。
コの字型金具は、今回ベンツのW203用シフトレバーの根元を切り取ったものを使用しましたが、同一形状の汎用金具やアルミアングル(厚さ3mm以内)を裁断加工した方が安価で簡単です。
また、コの字型金具側にネジ穴を切らずにナットで固定することもできますが、横方向へレバーが動いた際にナットの頭がC5のシフトレバー上端と干渉しないようにコの字型金具の寸法を設定する必要があります。
シフトレバー側のネジ山の切る量は、コの字型金具にネジ込んで固定された時にシフトレバーが正しい向きになるように設定します。
最初に10mmほどネジ山を切ってからコの字型金具にネジ込み、不足する分だけを切り増しして擦り合わせを行います。
ナットによる固定を行うのであれば摺り合せ作業は不要ですが、コの字型金具から上のシフトレバー全長が変わらないようにネジ山の切る量を調整します。
コの字型金具の後側の穴はM6皿頭ボルト用のザグリをつけて、ボルトを入れた時に頭が外に出ないようにします。
このボルトの頭が出っ張ると、C5のシフトポジション設定ギア用板バネと干渉を起こして1速に入れることができなくなってしまいます。
また、コの字型金具の後側左下角も厚さや大きさによっては干渉するので、その場合はその部分を切り取ります。
スプリングワッシャは、コの字型金具の寸法に合わせて必要枚数を前方側に入れます。
また、図面にはありませんが、シャフトとコの字型金具の接触面にナイロンワッシャを入れると、金属同士の摩擦が無くなってガタつかずに稼働をスムースにすることができます。
M6皿頭ボルトとM6ロックナットを使ってC5用シフトレバーシャフトにベンツ用シフトレバーを装着します。
ボルトを通す時はガイドピンを下げ、シャフト内部を貫通する部分にはスリーブを入れます。
ボルトを通してからガイドピンを放すと、ボルトに被せられたスリーブの下をガイドピンが押し上げて適度な負荷がかかります。
ロックナットはレバーがガタつかずに左右に軽く動く程度に締めます。
シャフトとコの字型金具の接触面にグリスを塗布します。
レバーを横方向に動かした際にボルトとナットが一緒に回る状態が適切です。
コの字型金具の左前上部角とC5用のシフトポジションガイドピンに1mm径の穴を空け、間にスプリングを装着します。
スプリングによりシフトレバーが常時左側方向へ倒れる力をかけます。
スプリングの効果が得られない場合は、シフトレバーを固定しているロックナットの締め付け度合いを微調整します。
スプリングは、自由長25mm、直径6mm、線径0.8mm、バネ定数1.35N/mmのものを使用しています。
ゲートハウジングのポジション表示照明は、手元に余っていたルームライト用LEDを2個装着しましたが、それほど広範囲を照らす必要はありませんので、白色高輝度LEDであれば何でも良いでしょう。
電源はC5のシフトポジション照明用ターミナル(シフトロックソレノイド電源と同じコネクター内)から取得します。

ゲートハウジングの前側はL型金具を装着してベース部分にM5皿頭又は平頭ボルトとナットで固定をします。
後側はゲートハウジングに着いている固定用ネジ穴をそのまま使います。
前後共にベース部分に穴を空け、下側から皿頭又は平頭ボルトを入れます。
皿(平)頭ボルトの使用は必須です。ベース部分の下側にボルトの頭が過度に飛び出ると装着時にボディ側と干渉を起こして全体が浮いてしまいます。
後側のボルトは、ベースとの間とハウジングとの間にアルミパイプのスリーブを入れて固定強度を確保しています。

リンケージワイヤーを外していない場合、穴空け作業を行う際はベース部分を固定しているナットを外し、シフトポジションを1速にしてからベース全体を少し浮かせて、ドリルの刃がセンタートンネルに到達しないようにして行います。そして、隙間からボルトを差し込みます。
狭いので少々面倒ですが、リンケージワイヤーの脱着を行うよりは遥かに簡単な作業です。
もしボルトを下に落としてしまうとリンケージワイヤーを外さない限り手が入りませんので、マグネットピックアップツールを用意しておくと良いと思います。

ベース部分に固定用ネジ穴を空ける際は、前後の固定位置がC5シフトポジションガイドギアで設定されたシフトレバーの位置とゲートにより設定される位置との差異が無いことを確認します。
また、左右はセンターコンソールを装着した際に空いているスペース内にハウジングが入るように設定します。
少しでもズレがある場合はゲートハウジングの固定位置を微調整します。
この時点で差異が無ければ装着後にポジションがズレてしまうことはありません。
シャフトの長さとゲートハウジングの高さの誤差により「P」と「1」のポジションでシャフトとゲートが干渉する場合は、ゲートハウジングの取付高を微調整するか、又は、ゲート内部を削って補正を行います。
ゲートカバーを削る必要はありません。
固定を行ったら、シフトレバーをゲートに沿って動かし、干渉無く正しいポジションにギアが入ることを確認します。
装着後に外部から目視できるゲートハウジングの外周とゲート部分の隙間にはフェルトシートを貼り付けます。
ゲート部分のフェルトシートは、シフトレバーが移動する部分に沿ってカッターで切り込みを入れます。
横方向はゲートの中央に、縦方向は左寄りにします。

でき上がったシフトアッセンブリーを装着します。
オンカー状態での作業であればこの作業は無いのでベースを固定します。
リンケージワイヤーを外した場合、接続は外すよりさらに大変です・・・。
狭い空間からプライヤー等でシャフトとワイヤー接続部をプレスしてはめ込みますが、思うように作業を進めることができませんから、外さずに作業を行う方法が断然お薦めです(笑)。
作業スペースを確保するために上方向に無理な負荷をかけるとプラスチック製のリンケージシャフトサポート部分が折れてしまいます。
整備マニュアルにもこの方法しか記載されていませんので、専用工具かコツがあるのかもしれません(エキパイを外してセンタートンネルアンダーカバーを外せば楽にできますが、かなりの重作業になってしまいます)。
私の場合、C5用のシフトアッセンブリーを別に用意して改造を行ったので、装着されていたものと交換するためにはリンケージワイヤーの脱着は必須作業です。
そして、2回の脱着作業を行った際にサポート部をとうとう折ってしまいました(笑)。
サポートはリンケージワイヤーと一体になっているので、新しい部品を調達して交換を行うまで稼働できなくなってしまいました。
部品交換をせず現状での復旧対策をあれこれ考えた末、リンケージワイヤー取付後にセンタートンネルの外側からナットでサポート部分を固定できるように改造しました。
スリットを入れたアルミ製L型金具をサポートの括れ部分に差し込み、それをセンタートンネルに固定して折れていない状態を復元させています。
但し、L型金具の固定は元の正しい位置になるように前後上下共に正確に設定する必要があります。
シフトレバーに接続を行った状態で固定部分にサポートが折れて取れていない時と同じようにしっかり押し付けられていなければなりません。
こうすると、ナットを外せばリンケージワイヤーを大きく動かせるようになるので、十分な作業スペースが確保されて脱着作業が大幅に簡単になりますが、もう脱着を行うことは無いでしょう(笑)。
また、リンケージワイヤー接続後にナットでサポートを固定をする際にボルトを穴から出すためには、やはり狭い隙間から工具を差し込んで手探りで行うことになりますが、これについても作業用穴を付近に空けて対処しています。

シフトロックソレノイド電源とキーロックワイヤーは接続しなくてもエラー発生はありません。
始動時にブレーキペダルを踏まずともシフトレバーを動かすことができますし、シフトレバーポジションがどの位置になってもキーOFFをすることができるようになりますが、「P」と「N」以外のポジションにあるとエンジンを始動することはできません。
センターコンソールとの隙間は、ゲートハウジング部分を切り取ったフェルトシートを上からかぶせて、ベース部分に貼り付けます。
シフトノブを装着し、センターコンソールを装着して完成です。


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